韓国で法案化された「世紀の愚策」

※話にならないし、日韓関係の改善には何ら貢献しない。
 
先日韓国国会議長文喜相が来日し、早稲田大学で行った講演で所謂徴用工訴訟の解決策、として
 
「日韓政府に加え関係企業が『自発的寄付』して集まった資金を元手にして自称元徴用工補償する」
 
と言う妄言を吐いたが、韓国国会にその案は法案として提出されたらしい。
 
 
その法案の骨子、と言うのは
 
両国の企業、政府、国民が参与して「記憶人権財団」を設立し、被害者1500人に総額3000億ウォン(約277億円)の慰謝料を支払う
 
行政安全部の下部組織である「日帝強制動員被害者支援財団」を「記憶人権財団」に格上げし、同財団を通じて国内外の元徴用工や旧日本軍の元慰安婦、その遺族などに慰謝料や慰労金を支給する事業を包括的に推進する
 
・日韓の寄付金加え、慰安婦合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」の残りの財源もこの財団の財源に組み入れる
 
と言うものらしい。
 
※この時点で話にならない。
 
この時点でこの案は「話にならない」レベルの愚策だと断言出来る。韓国では「強制徴用被害者」と言う言い方をするが、ここで問題視されている「徴用」は当時施行されていた「国家総動員法」に基づくもので、当時の法体系からは「明らかに合法」な行為だった。今の人権感覚で言えば「徴用」と言う「本人の意思を無視して国家が何らかの業務に従事させる」事はどんな理由を付けても「違法」である事は民主主義国家では万国共通、と言っても差し支えない事だが、「法」と言うのは
 
「現在違法とされる行為でも実行時点で合法であれば遡って違法となる事はない」
 
のである。従って戦時中日本が行った「徴用」はそもそも「被害」を生んでもいなければ「人権侵害」と言う要素も皆無なのである。当時の大日本帝国憲法の規定では良い悪いは別にして「法律で人権を制約できた」と言う事を忘れてはならない。
 
これは法に携わる以上、前提としなくてはならない事だ。韓国国会は言うまでもなく「立法府」なのだから「法に携わる機関」である事は明白である。そういう前提を「知らない」とは言わせない。
 
※韓国でも国内法同様の効力がある。
 
また、当然の事ながら日韓請求権協定で日本統治時代の補償問題が「完全かつ最終的に」解決されたと明記されている事も見逃せない。日本は勿論、韓国でも日韓基本条約とセットでこれらを批准したからこそ、日韓の国交が存在しているのだが、韓国では憲法
 
※韓国国会は自国の憲法の規定を先ずは良く見ろ。
 
と、「国際法は国内法同様の効力を持つ」と明記している。従って日韓請求権協定も韓国内では「国内法同様の効力がある」と言う事になる。
 
国際法どころか国内法的にも「異常判決」。
 
そういう意味では昨年韓国大法院が出した判決、それこそ現在の日韓対立の「諸悪の根源」だが、それは国際法どころか「国内法的にも違反」している判決なのだと言える。韓国の主張を支持する、と言う人が日本人にそうそういるとは考え難いが、そういう人がもしいるのであれば自身の意見を言う前にこの様な「事実」を踏まえるべきであろう。勿論韓国人にも同様の事が言える。
 
もっと言ってしまえば徴用にしろ、慰安婦云々にしろ、全て「韓国建国前」の話である。建国前なのだから韓国の如何なる法もその時点では存在していない。だから日本統治時代の事に関して韓国の法律に基づいて定義する、と言うのは
 
「法を遡及して適用する」
 
事に他ならない。それをやる事は
 
法治国家である事の否定」
 
に等しいのだが、韓国人にはその意味が判っていない様だ。
 
そういう理由で日本としては「一蹴すべき」案である事は疑いの余地はない。韓国内の法案審議なので日本政府が関与する事は出来ないが、法案が成立した所で官民揃って「完全無視」すれば良いだけの事だ。この法案が求めているのは「自発的寄付」なのだから応じる義務はない。だから日本側が完全無視したとしても韓国政府にその「自発的寄付」をしない事に対して何か言われる筋合いはない。
 
また、この法案が成立、施行された場合、日本側が一切協力しなかったとしても「法として成立」した以上、韓国政府はその運用を行わなくてはならない。法案には
 
「審議委員会を設置して慰謝料の支給対象者や支給額を設定し、徴用の実態調査は1年以内に完了するように定めた。慰謝料の申請は法施行後1年6か月以内とし、その後は申請権が消滅する。」
 
と言う内容が含まれているらしい。修正される可能性はあるものの、「日本の出資がゼロ」と言う状況を変える事は出来ない。それでも法として韓国政府には規定を順守する義務はある。こんな愚策は他にはない。この程度の発想しか出来ない時点で「韓国のレベル」たかが知れているのである。