オリンピックで金メダリスト2名が同時誕生

 

ムタズエサ・バルシム(カタール)と、ジャンマルコ・タンベリ(イタリア)の両選手は男子走り高跳びで2m37cmまではノーミスでクリアしたが、2m39cmは共に3回失敗、と全く同じ成績となった。2m39cmに挑戦して失敗した選手は6名いたものの2m37cmをクリアした選手がこの2人の他にもう一人居り、失敗数の差でそのベラルーシの選手が3位となり、残る2名で決着を付けるべく大会側はプレーオフを提案したのだそうだが、両者がそれを選択せず「2人に金メダルを」と言う両選手の提案が認められ、「一競技で金メダリスト2名同時誕生」となったと言うのだ。(注:プレーオフの選択権は選手にある)運営側も粋な計らいをするものだと言える。
 
※両者の金メダルが決定した瞬間、喜び合う2人の選手。
 

 ※その瞬間を伝えるツイート。

 

競技としてあくまで最後まで決着を付けるべき、と言う意見もあるかも知れないが、今回の様に単に成功した記録だけでなく、失敗した数(ノーミスだったのだが)まで並ぶ、と言う事態の方が珍しいらしい。プレーオフを行った所でそれ以上の記録を出せる保証もない。サドンデスの様なプレーオフを行っても必然的に現在以上の記録に挑戦するのだから失敗続きで決着が付かない、なんて事態もあり得る。それなら「両者金メダル」でも大いに結構ではないか。何せ「東京」オリンピックである。ならば江戸っ子の様な「粋」があった方が良い。両者の金メダルは素直に祝福するべきである。

 

今回の様な事はオリンピックや世界陸上の様な国際大会でも稀に起こるらしく、過去には金、銀のメダルを半分に分割して接合し、それぞれ共有したなんて話もあると言う。「勝つことだけが全てではない」と言う事なのだろう。何処とは言わないが、「メダル獲得至上主義」に浸っている隣国あたりは是非とも「爪の垢を煎じて」飲んで貰いたいものだが、それこそがオリンピックの精神そのものである。勿論不測の事態に備えた金メダルの予備はあるのだろうから余計な心配はしなくても良いのではないだろう。

 

オリンピックの競技には柔道の様に「対戦する相手がいるもの」と走り高跳びの様に「記録に挑戦する」性質のものがある。その違いを理解する事も我々外野の観戦者には重要な事ではないだろうか?いずれにしても良いものを見せて貰った、と言う事で両選手には感謝したいし、こういう事があった、と言う事は無観客による興行性はともかく、競技大会としては十分に記憶に残る大会になるとも言える。そもそもオリンピックが「ゼニカネの問題ではない」と言うなら参加した選手の目線で「成功した」と言えるなら「成功した」のである。外野が騒ぐ様な事ではない、と言う事であろう。個人的にはそれで良いと思う。こうやって

 

「オリンピック精神を体現してくれた選手がいてそれを目の当たりに出来た」

 

のだから。