恐竜絶滅をもたらした巨大隕石が引き起こした津波の高さは1500m！？

※実際にこんな光景が見られたのだろうか？

恐竜絶滅の原因として「巨大隕石衝突による全地球規模の影響」と言うのは今やほぼ定説となっている。6600万年程前、現在のユカタン半島付近に直径10km程の巨大隕石が衝突し、それによって起こった様々な天変地異によって恐竜は絶滅した、と言うヤツである。

※恐竜絶滅の原因となった巨大隕石衝突の痕跡はこんな感じのクレーターとして残っている。

勿論被害は恐竜だけに留まらず、翼竜や首長竜と言った空や海に進出していた爬虫類、アンモナイトなど、多数の生物が絶滅の憂き目に遭い、当時地球に生息していた生物種の75％が絶滅したと言うから不可抗力とは言え、とてつもない厄災であった事は想像に難くない。その巨大隕石衝突の直接的影響が如何に凄まじいものであったか？その痕跡がアメリカで発見されていたと言う。そこから判った衝突の規模は

「マグニチュード11の地震を引き起こし、発生した津波の波高は1500m」

と、映画や漫画でもそうそうお目にかかれないまさに「地獄絵図」だと明らかになったのだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/3f91ef6128aaacdb966a435d31e127e48aa09eff

※発見されたリップルマーク。

きっかけはアメリカ企業による資源調査だった。アメリカ・ルイジアナ州にあるイアット湖と言う湖の近くで埋蔵されたエネルギー資源を調査すべくエネルギー企業が付近の地形の地震調査を行ったのだが、その時、上記画像の様な波状の地形が地下1500m程の場所で発見されたと言う。これを地元の大学解析してもらった所、恐竜絶滅に繋がった隕石衝突の痕跡である事が明らかになったのだ。この様な地形を「リップルマーク」と言うそうだが、幅600m、高さ16mにも及ぶそうで、言うまでもなく地球最大規模のリップルマークである。

この隕石衝突によって少なくともマグニチュード10～11の地震が起きたと言われている。例えが悪いが、東日本大震災がマグニチュード9.0だった。マグニチュード10ならその31.6倍、マグニチュード11なら実に1000倍ものエネルギーとなる。東日本大震災の震源は深さ24kmだったそうだが、その何倍ものエネルギーの揺れが「ほぼ地表で」起きたのである。実際の揺れの差は東日本大震災のそれとは比較にならない程強烈だった筈だ。

だが、それを体験し、耐えた生物はまず居ないと言って良い。何故なら衝突時の衝撃波によって少なくとも衝突地点から数百キロ以内では「まず即死」だと推測されているからだ。それに耐えたとしても衝突によって発生した火球によってやっぱりやられる事になる。そもそもこの隕石が大気圏に突入した際、20km/sもの速度であったと考えられている。単純計算でマッハ58.8だ。しかも最近の研究で衝突角度が「地球にとって最悪」である60度であった事が判ってきたと言う。この角度での衝突の場合、被害が最大になる事がシミュレーションの結果判ったと言うのだ。しかも衝突場所はよりによって硫黄が大量に眠っていた場所で、衝突によって気化した硫黄が大量に大気中に放出され、それが地球全体の寒冷化の原因となったと言うのだ。場所も「最悪」だったと言う訳だ。そして津波。従来から「少なくとも高さ数百m」とは言われていたが、最大で1500mにも及ぶ、と言う計算も存在するそうだ。しかも衝突時の熱で海水は瞬間的に加熱されており、おそらく熱湯状態での津波であった事が想像される。語るも恐ろしい地獄絵図そのものであり、沿岸にいた生物は「生きた心地がしない」気分を味わう前にとっくに衝撃波、火球、灼熱の突風、そして熱湯状態の津波のいずれかで生きてはいなかったのだ。

※この隕石、衝突場所も角度も最悪だった訳だ。

高さ1500m、と言うと比較的近い標高の山で言うと丹沢山が1491m、阿蘇山が1506mだそうで、そのクラスの山に匹敵する高さの津波が沿岸を襲った、と言うのだ。最早想像すら出来ないレベルだと言えるだろう。

これだけのリップルマークがここまで鮮明に残っていたのは当時この場所が水深60m程の場所にあり、このクラスの天変地異でもない限り地形の変動要因がなかったからだと言う。

この様にして恐竜絶滅に繋がった隕石衝突の状況の一端が明らかになった。映画と違って人類はこのクラスの天体衝突を予測する事は出来てもそれを未然に防ぐ手段は現在の技術では残念ながら持ち合わせてはいない。だが、過去に起きた事を知る事で「何かのヒント」を掴める可能性はあるのではないだろうか？そういう知見を得る事も人類の為には非常に重要な事ではないかと思えるのである。