飲酒運転死傷事故に対する大甘判決
※どうしてそうなる?
昨年11月に福井県で酒気帯び運転でパトカーの追跡から逃走しようとした際に軽乗用車と衝突事故を起こし、軽乗用車の大学生を死傷させた男の判決公判で福井地裁は検察が主張していた「危険運転」を認めず、「過失運転致傷」で男に懲役5年6ヶ月の実刑判決を言い渡した。明らかにおかしな判決である。実際地裁レベルでは何故かこういう判決が出る事がままある。検察には即刻「量刑不服」で控訴し、高裁で正しい事実認定と適正な判決を勝ち取って貰いたい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c91768de906e97f3c54e3b0a8d82a3816f9e7321
「危険運転」とは「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(略称:自動車運転死傷行為処罰法)2条にその定義が規定されている。以下条文。
※飲酒運転は明らかな「危険運転」と定義すべき。
と、要件の筆頭に「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」と「飲酒運転=危険運転」としか解釈しようのない表現で明記されているのに判決は「危険運転」だとは認めなかった。どう法律を解釈したらこの様な結果になるのか?そもそも飲酒運転が厳禁なのは
「飲酒した時点で正常な運転が困難になるから」
なのだが。
※検察側と弁護側の主張。
そもそも「飲酒運転」は自身が意図的に行わない限り発生しない。また、飲酒した状態で運転をする危険性は「イヤと言う程啓蒙」されており、「常識」レベルの話だ。つまり「危険性を予見出来なかった」などあり得ない「故意犯」である。その時点で情状酌量の余地はない。
しかも検察によれば時速105kmまで加速していたと言う。一般道でこんな速度を出せば飲酒運転でなくてもかなり悪質なスピード違反案件で勿論赤切符となる。それを
「パトカーに追跡されて頭が真っ白になっていた」
からスピードや交差点を見落とし、車に気付かなかったのも「危険運転でなくなる理由」になると言うならそれこそ「飲酒運転が根絶されない理由」になる。ケースが違うから一概に比較するのはどうかと言う部分はあるが、先日判決が確定した飯塚幸三の事件と比べてみるとこの判決が如何に加害者に甘いかは容易に想像出来るだろう。
※今回の判決がそれ。
事故の被害者や遺族に寄り添わないこんな判決を確定させるのは社会正義に反する。控訴すべきなのは論を待たないが、「飲酒運転の根絶」「飲酒運転による事故で被害者が泣き寝入り」
と言った事態にならない為には
「飲酒運転=危険運転」
と言う概念を法解釈、運用で明確にする必要がある。特に裁判所は事故を起こさなかった単独の飲酒運転でも容赦なく実刑判決を積極的に出していくべきである。
「飲酒運転=実刑判決」
と言う意識が確立すればそれでも敢えて飲酒運転をする輩は自ずと減るのではないだろうか?飲酒運転撲滅に対する裁判所の「本気度」が試されている。