北方領土は返ってくるか

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日露次官級協議が先日行われた。昨年は日露首脳会談が4回、また2プラス2の開催など日露関係は良好に見える。どうやら安倍首相とプーチン大統領がウマが合うようだ。

…しかし一方で日露関係の最大の癌は言うまでもなく北方領土問題である。プーチン大統領は「引き分け」という表現を使って「実現可能な双方受け入れ可能な」解決方法を話し合う。と言うものの双方の認識差は大きく解決は容易でない。

歴史を紐解くとロシアとの最初の条約、日露和親条約では択捉島までは日本領土とされた。その後千島樺太交換条約にて択捉島から北の列島を日本領土、樺太をロシア領土とした。更に日露戦争の結果樺太の南半分が日本領土となった。

この時点で「千島列島」が択捉島より北を指し、択捉島以南は含まれていないのは明らかだ。北方4島は最初から「日本」だったのだ。

ロシアは北方領土について「第二次大戦の結果ロシア領土になった」と日本の主張を歯牙にもかけない。しかしこれまた歴史を紐解くと明らかな国際法違反の不法なものであるのは明白だ。

まずロシアに言わせるとヤルタ協定でドイツの降伏後のソ連の対日参戦と引き換えにソ連南樺太及び千島の領有を認める合意があったとしている。しかしアメリカはヤルタ協定は公式文書ではなく無効という立場である。またサンフランシスコ平和条約にて日本は千島列島、南樺太を放棄しているが、千島列島とは先述の通り北方領土は含まない。故にヤルタ協定だけを根拠にロシアの領有を認めるのは難しい。

それ以前にソ連は日ソ中立条約を無視して侵攻した事実がある。ソ連が日ソ中立条約を破棄通告したのは45年4月15日である。この条約は破棄通告後1年を経て失効する規定の為失効は46年4月25日の筈だった。しかし45年8月8日に対日宣戦布告。明らかに日ソ中立条約無視である。理由や事情がどうあれやった事は独ソ不可侵条約を無視して独ソ戦争を始めたヒトラーと同じ穴の狢である。そして8月15日のポツダム宣言受諾、更に9月2日の降伏文書調印後までソ連の侵攻は続いた。これも明らかな国際法違反であり、その結果領土を得たと言うのは不法行為の既成事実化であり、容認出来ない事項だ。またサンフランシスコ平和条約ソ連は調印していない為、この条約から享受する事項は皆無である。

まずはこの事実に基づいた認識が必要である。ロシアの認識を認めても何にもならない。

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四島返還が日本の国是であるのは論を待たないが、それはプーチンの言う「引き分け」にはならない。従って日本の譲歩としての案が幾つか出ている。

筆者としては色丹、歯舞の先行返還が現実的ではないかと思う。色丹、歯舞をまず取り戻す。択捉、国後はその後の返還交渉をする。但し2島で終わりにするのがロシアの狙いでそれに嵌まったらお仕舞いである。そうならない為の交渉が肝心ではないかと思う。色丹、歯舞だけでは日本にとっては「引き分け」ではないのである。