東京大空襲は戦争犯罪だ。

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3月10日は東京大空襲のあった日である。300機を超えるBー29が38万発もの焼夷弾を投下、10万人以上の犠牲者が出た。

この東京大空襲、原爆投下同様にアメリカによる戦争犯罪だ。そもそもの始めから軍事施設ではなく市街地を標的にしている。参考にハーグ陸戦条約を見てみよう。

第23条5項:不必要な苦痛を与える兵器、投射物、その他の物質を使用すること(を禁止)

…この空襲で用いられた焼夷弾は当時の日本の木造住宅を燃やして被害を与える為に開発された。製造段階でわざわざ日本住宅を再現し(内部に畳や布団まで拵える拘りよう)、それを標的に実験を繰り返して開発したものだ。それを大量投下したのだから結果の予見は容易である。また当日の 強い冬型の気圧配置という悪条件が重なり、巨大な火災旋風が発生し、(煙は成層圏に達したという。)火災による焼死に止まらず、酸欠による窒息死、また川に逃げたものの溺死や凍死したりで被害者が増大したと言われる。そしてその死者の大半は非戦闘員の一般市民であった。そういう焼夷弾は明らかに「不必要な苦痛を与える」兵器に該当すると言える。
また、

第25条:防守されていない都市、集落、住宅または建物は、いかなる手段によってもこれを攻撃または砲撃することはできない。

…一見して明らかであろう。

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この東京大空襲、指揮したのは当時少将のカーチス・ルメイである。戦後に日本は彼に叙勲している。Wikipediaより抜粋。

「1964年(昭和39年)12月4日に日本本土爆撃を含む対日無差別爆撃を指揮したカーチス・ルメイに対し勲一等旭日章の叙勲を第1次佐藤内閣が閣議決定した。

当時非難の声があり国会で追及されたが、佐藤栄作首相は「今はアメリカと友好関係にあり、功績があるならば過去は過去として功に報いるのが当然、大国の民とはいつまでもとらわれず今後の関係、功績を考えて処置していくべきもの」と答える。小泉純也防衛庁長官も「功績と戦時の事情は別個に考えるもの」と答えている。(肩書きは当時)

勲一等の授与は天皇親授が通例だが、昭和天皇はルメイと面会することはなかったという。

後年『NHK特集 東京大空襲』でのNHKの取材で戦争責任についての問いにルメイは勲章を示して見せている。 「自分たちが負けていたら、自分は戦犯として裁かれていた」とも述べたという。ルメイの前任者だったハンセル少将は、高高度からの軍事目標への精密爆撃に拘った故に解任されている。」

一読して明らかな様に東京大空襲はやったアメリカ側の人間ですら「戦争犯罪」と認める暴挙だった。 大虐殺と言われて当然だ。それを非常識と非難する方が非常識なのだ。勿論駐日大使館キャロライン・ケネディの事だ。「前任者だったハンセル少将は、(高高度からの)軍事目標への(精密)爆撃に拘った」とあるが、これこそが本来の戦争法規に沿ったやり方である。

…しかしながら勝ったから無罪、負けたから有罪となるのか?否、勝っても戦争犯罪には変わりない。ただし日本はサンフランシスコ平和条約で賠償を放棄しているため、連合国の戦争犯罪に賠償を請求出来ない。また、ハーグ陸戦条約は交戦国全てが批准していないと適用されない解釈や判例もあるため、その解釈だと第二次大戦の如く沢山の国が戦争をした場合、敵味方問わず批准していない国が存在したら全ての国に適用されない事になるが…

いずれにしてもそういう認識を持つ事が正しく歴史を理解する第一歩である。ルメイは「戦争とは全て道徳に反する。」と言ったそうだが、「勝った方が正義」とは言えないのだ。勝っても負けても戦争自体が非道徳の所業だ。アメリカは戦争に勝ったからと自らの戦争犯罪を有耶無耶にしたが、それと正面から向き合って始めて歴史を語る事が出来る。

因みに東京大空襲に対する政府見解は以下のものである。

2013年(平成25年)5月7日、第2次安倍内閣東京大空襲についての答弁書閣議決定した。答弁書では、「国際法の根底にある基本思想の一つたる人道主義に合致しない」点を強調する一方、「当時の国際法に違反して行われたとは言い切れない」とも指摘し、アメリカへの直接的な批判は避けている。(Wikipediaより)