蟻の穴から堤が崩れる

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地球に生命が誕生してから五回の大量絶滅があったとされている。
有名なのは6500万年前、恐竜の絶滅を引き起こした巨大隕石の衝突である。

如何に天体観測技術が発達し、遥か彼方の天体を発見し、軌道を計算して導く事が出来ても結果地球に20XX年X月X日に衝突となったら笑い事では済まない。それこそ映画「ディープ・インパクト」ではないが大騒ぎは必至だし、迫り来る天体をどうやって破壊するか(破壊出来るか)はまた別問題である。確実に言えるのは映画よりも破壊は困難を伴うと言う事だ。

さて、過去にあった生物の大量絶滅のうち、最も深刻だったのがペルム紀末の大絶滅。陸生生物の70%、海洋生物に至っては何と95%の種が絶滅したと言う。その原因は永らく不明だったが、この度有力な説が登場した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140402-00000005-jij_afp-sctch


ペルム紀末に海で突如として大量発生した「メタノサルキナ」として知られる微生物が、大気中にメタンを噴出し、海の化学組成と地球の気候に劇的な変化を引き起こしたと言うのだ。

従来は火山活動などの地球活動に理由を求めていたが、火山噴火だけでは大量絶滅が速く進行した理由を説明できない。噴火によってニッケルが自然環境に放出され、これが微生物の繁殖を促したのかもしれないと言うのが仮説の骨子である。

だとしたら微生物が大量発生したものの周囲の酸素を吸い尽くして酸欠で一斉に死亡したとするならペルム紀赤潮みたいな事態になっていたかも知れない。そういう事態がどこかの沿岸で発生していたかも知れない。それが生態系の破壊をもたらして結果的に大量絶滅に繋がったのだろうか?

…だとしたら微生物の大量発生が生物の大量絶滅に繋がったと言う事になるが、人間による環境破壊が同じ様な事態を引き起こさないとは言えないだろう。何が生態系のバランスを崩すか、そしてその結果どんな影響が出るのか?完全に予測するのは難しいし、また既に始まっている可能性すら有り得る。人間の知恵と技術で止められるならまだしもペルム紀末の大絶滅の二の舞を人間自らが引き起こす事態にもなりかねない。

地球温暖化PM2.5に代表される化学物質が他の生物を絶滅に追いやったり自然のバランスを崩壊させる原因となる可能性は常にある。蟻の穴から堤も崩れると言う。ちょっとした事が大厄災になりうる。人間が自然をコントロール出来る訳はない。それを肝に銘じておかないと最後は自身に跳ね返ってくるのである。