大飯原発再稼動差し止めは妥当か

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福井県大飯原発3、4号機の再稼動の是非が問われた裁判、福井地裁の判決は「再稼動を認めない」という判決であった。
以下のリンクはその判決要旨である。

http://www.news-pj.net/diary/1001

一見もっともらしい事を言っているが、科学的根拠があるかというと大いに疑問がある。

まず問題は原子力規制委員会大飯原発を審査中であるにも関わらず裁判所が結論を出した事だ。裁判所は原子力の専門家なのだろうか?この判決を出した裁判官は原子力規制委員会のメンバーより原子力に詳しいのだろう。それならば裁判官ではなく、原子力規制委員会で活躍して頂きたいものだ。因みに大阪高裁はこの判決の直前に別件での大飯原発再稼動差し止め訴訟で「原子力規制委員会の結論の前に裁判所が原発再稼動の是非を判断するのは不適当」と住民の訴えを却下している。これが正常な判断である。

http://sankei.jp.msn.com/smp/life/news/140523/trd14052310170014-s.htm

リンクは判決を批判する立場の産経新聞からの記事である。記事では判決について早速専門家から「原子炉冷却系などについて、技術的に誤った部分があちこちにある。」と指摘がある。技術的云々の問題を無視しても専門家の原子力規制委員会の判断よりも素人の裁判官の判断が優先するならば原子力規制委員会などは無用の長物であり、税金の無駄遣いそのものになる。それでいいのだろうか?

訴訟の最大の争点は耐震設計の目安である「基準地震動」を超える地震の可能性であった。基準値を裁判中に原子力規制委員会の指摘を受けて変更した関西電力にも問題があったのは否めない。しかし判決では「地震大国日本で基準地震動を超える地震大飯原発を襲わないというのは根拠のない楽観的見通しに過ぎない」と断じた。地震の規模や時期を予知するのは現在の技術では困難である。だが、判決の言い方では事故リスクゼロでないと原発稼動は認めないと言う意味である。事故リスクゼロなんて原発でなくても有り得ないと断言していい。絶対人をはねない車や絶対墜落しない飛行機、絶対沈没しない船など有り得ない。それらを動かす以上リスクは僅かでも発生する。

原発が他と違うのは放射線を周囲、それもかなりの広範囲に撒き散らすからであろう。だが、原発事故で忘れてはならないのはレベル5以上の過酷事故、即ちチェルノブイリ、スリーマイル、福島、いずれも人災の側面を持ち合わせている事実である。チェルノブイリでは杜撰な指示による無謀運転(現場が指示を無視した無謀運転とも。正確な所は当事者が被曝死した為永遠の闇である)、スリーマイルでは作業員の判断ミス、福島でも非常電源の杜撰な管理である。福島の正確な事故原因の究明はまだだが、それが事故の一因になったのはまず間違いない。

また、放射線についてだが、年間被曝2.4ミリシーベルトと言うのは世界平均値である。日本だけなら年間被曝1.5ミリシーベルトだ。当然世界には平均値以上に被曝する場所がある。イランやインド、ブラジルには年間10ミリシーベルトの被曝をする場所もある。そのブラジルのある砂浜は自然で年間37ミリシーベルト放射線量があるそうが、血行促進等でブラジル国民が砂温泉を活用している。因みに福島の立入禁止地区内は44ミリシーベルトだった。

放射線は人体に害だけを与える訳ではない。癌の治療に放射線が使われているのは周知の通りだし、放射能泉という放射性物質を含む温泉では癌のリスク減少効果があるとされている。有名どころでは鳥取県三朝温泉。この付近の人の癌死亡率は他より有意に低いとする報告もある。

その他にも食品に放射線を当てる事で品質保持効果などもあるという。宝島社「世界一わかりやすい放射性の本当の話」によると日本ではじゃがいもが唯一の対象食品だそうだ。そうする事で発芽を遅らせる効果があるという。それどころか外国では常套手段の為、輸入食品の大半がそうなっている可能性が高い。勿論検査基準クリアでないと流通しないから食べても問題はないのだが…

また、判決は「国富」とは豊かな国土とそこに国民が根を下ろしている事と定義した。原発再稼動が出来ないから電気供給を維持する為火力発電に頼って年間3兆8千億もの金を燃料費に費やし(つまり燃やして)、それに伴う日本のジリ貧や、火力発電で必然的に発生するCO2やNOx、PM2.5で日本が大気汚染を起こすよりも放射線のない方が大事らしい。要は国益の何たるかも理解していない。それとも放射線ゼロが最大級の国益だとでも言うのだろうか?

筆者とて原子力絶対などとは言えない。リスクについても承知しているし、放射線のメリットもある程度知識は学んだ。脱原発が悪いとは言わない。ただ福島の事故前、日本の発電量の約3割を原発が担っていたのは事実だ。その代換をどうするか?その答えのない脱原発に賛成出来ないのだ。

http://m.blogs.yahoo.co.jp/imadon1101/32960014.html

以前に風力・太陽光発電原発の代わりになるか論証した。結果はリンクを参照頂きたい。