安全保障関連法案とサンフランシスコ平和条約

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※おいおい大丈夫か?安倍首相…

衆院憲法審査会で与党推薦の参考人全員が安全保障関連法案を「違憲」と批判したのは与党に大きな衝撃だったようだ。中谷防衛相が反論を行っている。

中谷元防衛相は5日午前の記者会見で、衆院憲法審査会で与党が推薦した参考人全員が、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使を含む新たな安全保障関連法案を「憲法違反」と批判したことについて「これまでの憲法9条をめぐる議論との整合性を考慮したものだ。行政府における憲法解釈の裁量の範囲内で、違憲との指摘はあたらない」と反論した。「昨年7月の閣議決定有識者の検討や与党協議会での綿密な協議を踏まえて行った」とも述べた。》

http://www.sankei.com/politics/news/150605/plt1506050016-n1.html

この法案が違憲かどうか判断出来るのは最高裁判所だけである。誰とは言わぬが辻元某の様な「学者が違憲だと言っているのだから法案を撤回しろ」なんてバカな事を言うバカな議員の雑言など論外そのものだが、学者の違憲だと言う意見」も無視する訳にもいくまい。
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ここで改めて憲法9条を見てみたい。文章だけ読めば日米安保条約はおろか自衛隊すら違憲と言ってもいい位だが、2項冒頭の「前項の目的を達するため」がミソである。この文言がある事で自衛権まで放棄したとは解釈されず、自衛隊が存在出来るという解釈に繋がる。いわゆる「芦田修正」だが、これについては当の本人がそういう意図で修正したと明言している事からこの解釈に間違いはあるまい。

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自衛隊の存在はそれでいいとしても、日米安保条約はまた話が別だ。少なくとも在日米軍の駐留の適法性を憲法9条から「だけ」では見出だすことは難しいかもしれない。しかし、サンフランシスコ平和条約にはこの様な規定がある。
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実際これに基づいて日米安保条約は締結されたものだと言えるが、このサンフランシスコ平和条約の規定は単に日本と連合国の戦争状態を終結させ、占領されていた日本の主権を回復させただけに留まらず、日本の法体系の一部と化している部分もあると言えるだろう。

例えば領土に関する規定。日本にはそもそも領土に関する法律がない。サンフランシスコ平和条約の規定がそのままその役目を果たしているからだ。従って竹島はこの条約で日本が放棄した領土でない以上、国際法上1905年以降日本の領土のままであり続けている。この様な条約に基づく領土領海に関する主張は国際法上認められている為、今更改めて法律を作る必要がないのだ。

そう言う意味での国際法と国内法との兼ね合いが問題になるが、日本の場合には、判例は一貫して、「自動執行力のある」条約は、天皇の公布によって、国内法秩序に直接適用されるという立場をとっている。従ってサンフランシスコ平和条約は「自動執行力のある」条約の為、少なくとも日本国内では法律同然の扱いになる。この辺り国によって対応が異なり、例えば英国では国内法に変形させる必要があるとされている。

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…と、言う訳でサンフランシスコ平和条約5条を見ると(c)に日本に個別的・集団的自衛権を保持している事、また日本が自発的に他国と集団安全保障体制を締結できる旨が明記されている。

…ではこれが根拠であるならば、安全保障関連法案は問題ないのか?と言うと話はそう簡単ではない。日本が国際法を遵守尊重するのは憲法98条の規定からも当然であるが、憲法は国の最高規範である。現在の通説では憲法条約法律という優先順位だそうだから、例え現在審議中の安全保障関連法案がサンフランシスコ平和条約5条を根拠だ」と言っても憲法9条と整合性が取れなくてはならない。そこでもう一度この条文を見てみると

(i)その国際紛争を、平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決すること。
(ii)その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使は、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むこと。
(iii)国際連合が憲章に従つてとるいかなる行動についても国際連合にあらゆる援助を与え、且つ、国際連合が防止行動又は強制行動をとるいかなる国に対しても援助の供与を慎むこと。

が、日本が国際社会で負うべき義務として明記されている。要するに国際紛争は平和的手段で解決しろ、武力による威嚇や行使は国連の目的内という例外を除いて行ってはならない、国連憲章に基づく国連の行動には支援を、逆に国連の(軍事)制裁対象の国には一切援助するな、と言う訳だ。殆ど憲法9条1項の内容そのもの…

その憲法9条も原案は連合国(GHQ)が作った物なのだから、少なくとも条約締結当時、世界は憲法9条をこれ位の範囲で解釈していたのではないかと推察する事も不可能ではないかもしれない。勿論現在とは国際情勢は大きく異なるが…

サンフランシスコ平和条約日本の主権回復の根拠となった経緯や日本での法体系内での運用の実情を考慮すればある意味では憲法に匹敵する重みがあるとも言える。少々穿った見方ではあるかもしれないが、憲法9条をサンフランシスコ平和条約5条の範囲まで拡大解釈出来るとするならば、現在問題の安全保障関連法案の問題はクリアされると言えないだろうか?ニュースソースの中谷防衛相の反論もこの範囲内に納まる事からそういう解釈を前提にするならば問題はないと言えるだろう。左翼連中、批判の前にもう少し己の視野を広く持つべきである。

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