復元された零戦は飛べるのか?


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海上自衛隊鹿屋航空基地に格納されている復元された零戦

「悲劇の歴史を振り返り、平和への願いを大空に描こう」と、鹿児島県で零式艦上戦闘機零戦)を飛ばす計画があるのだが、世論の壁と資金難で計画の実現が危機状態にあると言う。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151108-00010001-nishinp-soci

この零戦は、パプアニューギニアで爆撃された機体で約40年前に発見され、その後米国などで修復されたそうだ。現在となっては世界で5機しかない飛行可能な零戦の一つとされており、前述の様に「悲劇の歴史を振り返り、平和への願いを大空に描こう」と言う目的で飛行させよう、と言うのが計画の趣旨である。

しかし、

零戦は戦争を想起させる。鹿屋基地から飛べば、自衛隊のイメージも悪化する」
「今、零戦なんか飛ばしたら、戦争に賛成していると誤解を受けかねない」

などと言う懸念の声が挙がって逆風となっている様だ。安保法を巡るドタバタ劇もそれなりに影響した模様だ。筆者個人としては是非とも実行して頂きたい、と思うし、出来ることならばこの目で見てみたいものだ。…もっとも計画が実行され、実際にこの零戦が空を飛んだとしても筆者は動画で見る事になりそうだが…

少なくとも筆者は零戦を飛ばす」事が即戦争讚美に繋がる事だとは思わない。勿論実戦投入された事や、特攻に使われた歴史は否定しようがない。しかし、航空機としての画期的かつ斬新な構造、そしてその性能が欧米人を驚愕させた事もまた否定出来ない事ではないだろうか?

三菱重工業は自動車のエンジンの軽量化や燃料効率向上につながる傘中空エンジンバルブの加工技術を開発したが、これは元を辿れば零戦のエンジンに使われていた技術なのだそうだ。軍事技術故に本来廃棄される所をGHQの目を逃れ、隠し通して平成の世に復活させたのだそうだ。詳しくは去年の記事ではあるが、日経新聞が記事にしていた。
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http://mw.nikkei.com/tb/#!/article/DGXNASDD3102Z_R30C14A1000000/

その他にも新幹線の様な高速鉄道にも零戦開発で培われた技術が使われていると言う。新幹線の様に時速200キロを超えるスピードでも「安全で揺れの少ない列車」の製造に関わった技術者の松平精、三木忠直両氏は海軍の航空技術廠(しょう)で零戦などの設計や製造に関わっていた人物である。
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※新幹線にも零戦で培われた技術が形を変えて存在するのである。

つまり零戦の技術は形を変えて我々の身近な所にもある、と言えるが、それらを「戦争讚美」とは言うまい。ならばそう言った技術のルーツを辿り、敬意を表する、また純粋に「人類の航空機の歴史の1ページに名を残す傑作機の復元」と言う意味で飛ばすのは大いに結構な事ではないだろうか?何も「零戦戦争悪」と言う三段論法だけで語るだけが能ではあるまい。そう言う先入観を捨てて、公平な目でこの計画の趣旨の理解が広まる事を願うばかりである。