余りにも深刻な北京の大気汚染、日本も他人事ではない。
※大気汚染が大問題の北京の様子。明らかに異常事態。
…以前から問題になっている北京の「PM2.5」による大気汚染、12月1日に携帯型測定器の測定で1立方メートル当たり2000マイクログラムに達したと言う。
http://www.sankei.com/world/news/151205/wor1512050003-n1.html
これはWHOの推奨する安全値の80倍にも達すると言う数字だそうだ。しかも密閉空間ではなく、北京と言う都市空間での話だ。写真を見れば一目瞭然だが、明らかに異常事態だ。しかし北京市はこれでも大気汚染警報のうち最も重い1級(赤色)警報を発令しなかった。この赤色警報は重大な大気汚染が3日以上継続すると見込まれる場合に発令されるそうで、その場合小中高校の臨時休校や企業活動の制限などが実施されると言う。北京ではその重大汚染が5日間継続したにも関わらず、2級(オレンジ色)警報どまりだった。
※見比べれば一目瞭然。
「言論の自由」がないこの国でも流石にこれにはネットユーザーからの批判は相次いだ模様だが、中々ユーモアに満ちた物も散見される。
「気温の予報が40度を絶対超えないのと同じで、見せかけだけの規定さ。みんなわかっていることだ」
「公式数値上の気温が休校や休業などの措置が必要となる40度を超えて発表されることはない。」
これは支那国内に広く伝わる“都市伝説”だそうだ。それと同様に学校の休校措置などが必要になる赤色警報はそれ故出なかった、と言う皮肉なのだろう。
…偶々寒気が北京上空に来たお陰で「PM2.5」のスモッグはそれに流されて一時的に北京にも青空が戻った模様だが、これにも
「結局風だのみか。政府の環境部門は何やってるんだ」
「かつては雨乞いをしたが、今は“風乞い”が必要だ」
…等と支那当局の無為無策を嘆いたり、皮肉るとも取れる意見が出ているようだ。
※現代では北京周辺に青空の境界がありますぞ、軍師。
「スモッグを消す妙計がある。祭壇を設置して諸葛孔明に風を起こしてもらうことだ」
…と「三國志」をネタにした意見もあった様だが、事此処に至っては流石の諸葛孔明もお手上げかも知れないぞ。また
「冷気こそ人民の救世主」
とかつての毛沢東をたたえる言い回しを引用する人もいたようだ。
…他にも
「天気という手段を利用した重大汚染に対する一時的勝利」
「上級幹部の賢明な指導の下、環境保全部門はまたも大気汚染に打ち勝った。福音をもたらして頂き、各地の人民は目に熱い涙を浮かべて感謝します」
…等と一見支那共産党を持ち上げるかに見せ掛けて皮肉るテクニック等もこの国のネット環境の場合要求されるらしい。そう言う人もいるにはいるそうだが、
「政府の甚だしい無作為だ、責任追及を」
なんてストレートに言ってしまうと、意見を当局に削除されるだけならまだしも、当局の捜査の手が及んだら目も当てられない。これらは日本と違って「言論の自由」がないが故の「苦肉の策」なのか。
「天に頼って生活している農民の心境が今ようやくわかった!」
「北京は中国でもっとも住みやすい都市だ!!!」
「この汚染でみな65歳以上は生きられないだろう。これで年金問題も解決だ」
…ともなればかなりのブラックユーモアである。この国のネットユーザーのユーモアのセンスも中々であると言えるだろう。
※ユーモアのセンスは中々である。
いずれにしても原因の解明と対策、と言う話になると一気にトーンダウンしてしまう。経済成長にばかり気を取られて環境に配慮しなかったツケが回ってきているのだ。そこまで頭が回らないのは愚劣そのものだが、支那国内だけならまだしも、偏西風に乗れば日本にも迷惑がかかる。冗談じゃない。
「改革開放の成果は平等に得られなかったが、大気汚染は人々にとって平等だ」
「大気汚染は公平だ。首都にいる人間はみな被害者。預金額や所有不動産、戸籍で差別されることはない」
と、支那ネットで揶揄されるように習近平以下指導部も北京にいる限りこの被害から逃れることは出来まい。正に自業自得、身から出た錆、因果応報だ。だが、他国に迷惑をかける前に自分達で対策を実行するべきなのは論を待たない。既にその兆候は始まっている。日本も他人事ではないだろう。
※マスクをして外出する北京市民。ここまで大掛かりな装備になるとは…