高浜原発再稼働差し止め仮処分取消は妥当なのか?

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※高浜原発。再稼働は可能になったが果たして…?

福井地裁は24日、4月に下した関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認めない仮処分について関西電力の異議を認めて再稼働を認める決定を下した。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151224-00000106-mai-soci

これを受けて関電は来年1月以降、高浜3、4号機を再稼働させる方針だが、反対派住民はこれに当然反発、抗告申し立ては必至原発の安全性をめぐる争いは今後、名古屋高裁金沢支部に舞台を移して継続される事になる。
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※今後関電が考える再稼働スケジュール。
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※決定に反発する反対派市民。

同じ福井地裁で同じ原発の再稼働を巡って全く逆の判断になった。判事が違うのだから当然と言えば当然なのかもしれないが、こういったケースでは実務的な意味では今回の判断が「当然の判断」と言えるかも知れない。

その理由は最高裁判決が同種の案件で下級審の判決を実質的に拘束しうる」点にある。と、なれば原発稼働の是非に関する最高裁判決があるのか?と言う話になるが、それは存在する。

原発訴訟で有力な判例とされているのは、四国電力伊方原発1号機の設置許可の是非が問われた平成4年に出た最高裁判決だ。この判決では設置許可には「最新の科学的、専門技術的知識に基づく総合的な判断が必要」と判示。つまり安全対策等の実務はあくまで専門知識のある行政の判断が尊重され、司法はその判断に不合理な点があるかどうか、つまり法律に適合しているか否かを審査するべき、としたのだ。

こういう判例が存在するという事は例え他の原発の再稼働の是非が訴訟案件になり、それが地裁高裁で如何なる判決になろうが最高裁はそういう判断基準で最終的に判決を出す、となる可能性が高い、と言う意味でもある。そういう意味では高裁以下の裁判所でも最高裁の示した基準が先にあればそれに基づいた判決を出す可能性が高くなる、と言う事だ。…勿論判事が「自らの良心と法律の規定に基づいて」最高裁判決と違う判断をする事は全く問題ないのだが…

何れにしても裁判所が「原発再稼働を認める判断に至る」には

・最新の科学的・技術的知見に基づく安全性確保
原子力規制委が中立公正な立場で審査

と言う条件が満たされていれば上記最高裁判決の言う「最新の科学的、専門技術的知識に基づく総合的な判断で原発は稼働出来る」と、なり、そしてそれは「裁判所の理屈」としては自然な成り行きなのだと言えるだろう。

…とは言え、それで再稼働したところで事故じゃなくても問題のタネは尽きないのが原発であるとも言える。

まず真っ先に思い浮かぶのは「高浜原発を再稼働して万が一事故が起きたらその責任は誰が取るのか?」と言う問題である。考えられるのは

・実際に稼働させる関西電力
・安全基準に御墨付きを与えた原子力規制委員会
・稼働に同意した地元の自己責任
・再稼働の判断をした裁判所
・最終的に国

…あたりが挙げられるが原発を再稼働して事故が起きてから各々が責任の擦り付け合いをしていたのでは菅直人の二の舞でしかない醜悪な図である。一体誰がそんな光景を望むのか?最低限稼働させるならその前に「誰が責任を持つのか?」それを明確にしておくべきではないのだろうか?
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放射線にも色々種類がある。

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※LNTとホルミシスでの被曝リスクの考え方の違い。
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ホルミシス効果の一例とされるもの。
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放射性物質は種類によって身体に溜まりやすい場所が異なる。
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※被曝による影響一覧

原発事故が起きた場合、真っ先に心配されそうなのは言うまでもなく放射線による被害だ。…とは言え放射線」と一口に言っても幾つか種類があり、性質も当然異なる。身体への影響と言うのも放射性物質の違いで異なる。そもそも放射線被曝に関しても「被曝が少ないに限る」と言う主張の「LNT仮説」と「ある程度までは被曝はプラス、一定量を越えると有害」と言う主張の「ホルミシス仮説」がある様に「放射線の人体への影響」と言うのは未知の部分も多いのである。確実に言えるのは「短時間で大量の放射線被曝は死に至る」と言う事と「地球上の生物は全てある程度の放射線被曝を前提に進化してきた」と言う事だ。

…何れにしても「核とどう付き合うのか?」というのは現代を生きる我々にとって切っても切れないテーマになっている。原発容認廃止、どちらの立場でも感情論ではなく、科学的知見に基づいた議論を行う事で結論を出すべきではあるまいか?最低限デマに惑わされないだけの知識は身に付けておきたいものである。
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※輸入食品には放射線を照射している場合がある。日本ではじゃがいものみがその対象。