ティラノサウルスの巨大化は発達した聴覚のお陰?

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※「恐竜」の代名詞とも言える存在。

「恐竜」で真っ先に思い浮かぶ種と言えば「ティラノサウルス・レックス」と答える方は非常に多いのではないだろうか?何せ種小名の「rex」まで知られている数少ない恐竜である。人間を圧倒する巨体、見るからに「恐ろしいトカゲ」と言う「恐竜」の名前の由来に相応しいその姿が人々を魅了してきたと言っても過言ではない。

ティラノサウルスは従来はジュラ紀に生息していたアロサウルスなどの大型肉食恐竜が更に進化、大型化したものと考えられていたが、研究が進むにつれ、鳥類に進化した小型肉食恐竜のグループの一派が独自の進化を遂げたものである、と判明した経緯がある。あれでも意外に鳥類に近い種なのである。

現在の東アジアに生息していた「ディロング」と言う恐竜が祖先にあたると考えられており、この恐竜に羽毛があった事が確認された為、最近では羽毛があったのではないか?とする復元図もある。
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※羽毛があったとするとこんな復元図も…もはやイメージ崩壊…w

ティラノサウルスの進化の謎の一つに「何故巨大化の道を選んだのか?」と言う疑問がある。
ティラノサウルスの祖先が当時陸続きだったベーリング海峡を通って北米に進出、進化の末ティラノサウルスが誕生した、と考えられているが、

「何故巨大化の道を選んだのか?」

と言う疑問に対するヒントと言える発見があったと言うのだ。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160315-00000018-mai-sctch

ウズベキスタンティラノサウルス類がまだ見つかっていない白亜紀半ば(9200万~9000万年前)の地層から、新種のティラノサウルス類の化石が発見された。化石の個体の全長は約3メートルと推計され、成長途中の未成体とみられる模様だ。

その化石の内耳を分析した結果、構造は大型化したティラノサウルスとほぼ同じで、低周波の音がよく聞こえた可能性が高いと言う。更に頭部の骨の密度は大型のティラノサウルスの方が新種より低く、すかすかの状態だったため、化石を発見したチームは

ティラノサウルスは耳などの機能の向上によって大型化したのではないか?」

と指摘しているのだ。

国立科学博物館真鍋真・生命進化史研究グループ長はこれについて

「聴覚の感度が高くなったことが狩りに有利に働き、多くのエサを得て大型化する可能性を高めたのかもしれない。骨密度が低く、骨の軽量化が進んだことも大型化に役立った可能性がある」

と、コメントしている。

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※(レプリカだが)大きい歯がティラノサウルスの歯。隣のタバコと比べると大きさがよく判る。

…と、なるとティラノサウルスには「立体視出来る目」と「優れた嗅覚と聴覚」があった事になる。また現物の化石はないが、ティラノサウルスの三半規管は他の恐竜に比べれば発達していた様で、それによって頭や目を固定する、と言った姿勢制御にも役立っていたらしい。やはりティラノサウルスには「狩り」に必要な能力は十分備えていた、と見るべきであろう。これからも新たな発見があるに違いない。その時、この恐竜は更に我々の想像力を湧かせてくれるであろう。何歳になっても魅力を感じる恐竜である。
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※発見された最大級のティラノサウルス「スー」。身体の大きさがよく判る。
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※現代にティラノサウルスが甦ったら…というCG。