EUを離脱して英国はどうなる?

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EUを離脱しても英国は蕀の道…

英国のEU離脱が決まり、英国以外のEU加盟27か国としては他にEU離脱を表明する国の出現に神経を尖らせている模様だ。ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領はEUに改革を要請し、またEUとして

「離脱の手続きは困難を伴うかもしれないが、英国民が今回出した結論をなるべく速やかに実現するよう」

共同声明を出したと言う。こうなった以上、下手に未練を残さない、と言う事か。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160625-00000020-jij_afp-int

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※なるべく円満に解決して貰いたい。

また、欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長も、英国のEU離脱について、

「『円満な離婚』ではないが速やかに行ってほしい」

との考えを示した。また、

「英政府が(EU本部が置かれている)ブリュッセルに離縁状を送るかどうかを決断するのになぜ10月まで必要なのか、私には理解できない。私としては直ちに送ってほしい」

EUは英国の残留を望んでいたが、今となっては、離脱の手続きをできるだけ速やかに、なおかつ痛みを伴わない形で進めることが肝心」

「(EUと英国は)円満な離婚ではないが、親密な恋愛関係というわけでもなかった」

「英国とEUにとって良き日ではないが、私たちは前に進まなければならない」

等と述べた。

EU離脱の手続きはリスボン条約50条に規定があると言う。内容を簡単にまとめると、

・2年間で離脱しないといけない。その間に他の国々と様々な合意をする必要がある。

・英国は、他のの加盟国と直接話し合いは不要である。細かい点は英国政府と欧州委員会との間での交渉になる。

EU加盟国の首脳たちは脱退について全員が合意する必要はなく、27か国中20か国(ただし、賛成国の人口がEU全体の人口の65%以上でなくてはならない)が賛成すれば良い。

・将来、英国がEUに再度加盟する場合、他の新規加盟国と同じプロセスを経る必要がある。

…と言う事になるらしい。が、一筋縄ではいかない難題続き、なのだそうだ。 EU移民の取り扱いや、安全保障、そして貿易協定と問題は山積みどころではないらしい。そして英国内でもEU法に則って運用されている国内法の見直しまであると言うから英国の国会議員は文字通り寝る間もないほど審議に追われる毎日がこれから続くのである。
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※さて、英国はEUとどの様な貿易協定を模索するのか?

特に貿易協定は難題中の難題、の模様だ。手っ取り早く済ませるならばWTOルール、と言う手段もあるにはあるが、関税の分、英国内ではEUからの輸入品が値上げされる。勿論EUと言う単一市場」にアクセスも出来ない。

EUと言う「単一市場にアクセス」するにはFTAと言う方法も考えられる。

カナダとEUの関係、というモデルもある。これに倣うとEUに予算を出す必要もなく、人の移動の自由もない。そして関税は殆どかからない。英国にとっては願ったりだが、そうなるまでに交渉は紆余曲折が予想される。カナダはこの交渉に7年かかったと言う。

ノルウェーEUと個別の貿易協定を締結しているが、これによってノルウェーEU加盟国でないにも関わらず、加盟国同然の義務を課されている。その上でノルウェーEUの決めたルールに問答無用で従わなければならない。この方法では英国はEU離脱の意味がないに等しいので英国がノルウェー方式でEUと貿易協定を締結する事はまず有り得ないだろう。

EUと関税同盟、と言う方法もある。トルコなどが現在そうしているが、EUと別の国がFTAを締結すると、英国もそうする義務が発生してしまうのが難点だ。しかもこちらもEUの意向に口出しは出来ない。

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※実例における一覧表。いずれも英国の思い通りにはいかない。何処をどう譲歩するか?

どれをとっても明らかに英国にとっては「蕀の道」でしかないが、それを承知で英国民は「離脱」と言う意思を示した。英国人としての誇り、愛国心EUに残留するメリットより大切だったのかも知れない。この選択が正解であるかどうかはまだ判らないが、少なくともその心意気は日本人も見習う所があるかも知れない。…特に外国人の権利を優先して日本人としての誇りも愛国心の欠片もない連中には。
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※既に辞意を表明しているが、離脱手続きを自分の手で完遂するのも責任の取り方の一つかも知れない。