「レジェンド」が出て来ても共産党は共産党。
共産党の不破哲三と言えば不肖筆者が子供の頃共産党のトップであり続けた人物である。御年86だと言うが健在の様子で共産党支持者からは「レジェンド」扱いなのだそうだ。そんな彼が今回の参議院選挙で街頭演説を行っていると言う。
共産党の「レジェンド」であるならその存在感は絶大であろう。それ故気軽に街頭演説を行う様な人物でもないだろう。そんな彼が街頭演説を「行う」と言うより「行わなければならない」程この参議院選挙は全体的に見れば野党連合に逆風なのであろう。朝日新聞ですら「改憲勢力3分の2に迫る」と一面記事にしている程だ。共産党としては議席は「増加」とする予測が多いが、共産党の議席が多少増えた所で自公が参議院で過半数割れにならなければ「野党連合」などと大見得切った意味は殆どない。また改憲勢力に「3分の2」を許してしまう結果になれば共産党のイデオロギーや打ち出した「国民連合政府構想」そのものに「NO」と言う民意を突き付けられた事になる。そういう意味では追い込まれているのは寧ろ共産党であり、「レジェンド」不破哲三でも引っ張り出さないと各選挙区個別の情勢はさておき、「選挙戦全体」としての敗勢に歯止めがかからない状態なのであろう。「勝ち戦」であるならば本来出る必要がないのは明白なのだから。
5日には甲府市で、6日には横浜市で不破哲三は演説を行った。曰く
「今の自民党は安倍カラー一色でゆとりがない」
「首相は憲法を改定して国民に押しつけるつもりだ」(甲府市で)
「(安倍首相は)戦争をやっている時代が一番美しいと思っている」
「安倍さんは選挙になるとアベノミクスを宣伝するが、日本の首相の中で、政策に自分の名前をつけた人がいたでしょうか」
「(緊急事態条項について)議会そっちのけで法と同じ効力を持つ政令を作れる。ファッショの独裁政治そのものだ」
「憲法を戦争と独裁政治の手段に変えようとしている。これを許すかどうか。それが、今度の参院選の最大の争点だ」
「(共産党綱領について)段階的改革と多数者革命の方針を持っている」(横浜市で)
と、独自の見解舌好調、だった模様だ。
「自民党は安倍カラー一色でゆとりがない」なんて安倍首相だって党員選挙でトップを選ばず、「志位和夫カラー一色」の「共産党にだけ」は言われたくないだろうし、憲法改正についても国会が出来るのは改正案の発議であって、それを最終的に判断するのは我々国民である。そもそも国会が国民にその改正案を「押し付ける」など法的にも物理的にも不可能である。「独自の見解」もこうなると「意味不明」の類になる。
「法による支配」を国際社会で主張する安倍首相の何処に「戦争をやっている時代が一番美しい」と思えるのかも根拠も意味も不明だし、現在行われている安倍首相の経済政策を「アベノミクス」と呼び出したのはマスコミではなかったのか？完全に事実誤認でしかない。緊急事態条項については福島瑞穂並みの愚劣な発言でしかない。幾ら「レジェンド」でも共産党の中での話なのだから所詮はその程度か。この発言はナチスを念頭に発言しているのだろうが、そのナチスが台頭したドイツで現在禁止されている思想はナチズムと共産党である。
「憲法を戦争と独裁政治の手段に変えようとしている」と言うのも根拠が不明である。ならば日本はどの国に戦争をどういう目的で仕掛けるのか？それを明確に言って貰いたいものだ。また行政、立法、司法全てが共産党の指導下にある支那を見習った条文は自民党改憲草案の何処にあると言うのか？この程度の出鱈目言論しか出来ない「レジェンド」って一体…？
また不破哲三は「改革」と「革命」と言う言葉を使い分けている。一般的に「改革」とは武力など用いずとも出来るものだが、「革命」とは基本的には武力を用いて政権を転覆するものである。それを使い分ける意図は明白であり、それこそが共産党が「公安監視対象」「破防法適用対象」である理由そのものなのだが、共産党の「レジェンド」が自ら証明したに等しい。そういう意味では失言に等しいとも思えるのだが、そういう理解もない様だ。
「レジェンド」だろうがその他何であろうが、共産党の主張そのものが根底からアサッテの方向を向いている筋違いなのだからその言論に意味はない。こんなのに投票するのは国政の円滑な運営を阻害し、国益を毀損する行為に手を貸すのと同義である。政治の混乱が自分達にどう跳ね返って来るのか？「悪夢の民主党政権」で実証済みである。同じ愚を繰り返す意味は何処にもない。「レジェンド」だからと言ってまともな事を言っているとは限らない。所詮は「井の中の蛙」の「過去の栄光」でしかない。上辺だけの美辞麗句に騙されてはならない。
