日韓合意の「10億円」の「見解の相違」

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※あまり調子に乗るものではない。


所謂慰安婦問題における昨年末の日韓合意に基づき、韓国側が設立・運営する「和解・癒し財団」の事業内容について日韓で大筋合意に達した、として日本政府は「10億円を速やかに拠出する手続きに入る」とした。

ソウルの日本大使館前の違法設置の出鱈目慰安婦像の撤去を前提とせず、10億円を拠出なんて正気の沙汰ではない、拙速にも程がある、と言う批判が出てくるのも当然である。岸田外務大臣はその10億円の使い途について

「医療や介護を想定」

していると言うが、財団理事長の金兌玄

「日本側が拠出する10億円は実質的には賠償の性格を持つものだ」

として早くも見解の相違が浮き彫りになっている。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160813-00000039-mai-int

金兌玄が「賠償の性格を持つ」と解釈する理由としては

「10億円は安倍晋三首相が慰安婦問題について、日本軍の関与と責任を認め、謝罪と反省を表明し、その意味において政府予算から拠出するものだ」

と言うが、そもそも「慰安婦」とは軍人相手に「商売」していた「娼婦」を言う。従って顧客として「軍が関与」していたのはその意味では当然である。少なくとも客観的な記録からは慰安所の設置運営、衛生管理に「関与」していたが、韓国側の言う様な「強制連行」の証拠は朝鮮人慰安婦に関しては「ない」のだが。
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※「強制連行でない」証拠なら沢山ある。

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※「余命三年時事日記」より引用。

また、昨年末の日韓合意を見直してみると、この財団設立と日本が拠出する10億円については

「韓国政府が,元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し,全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復,心の傷の癒やしのための事業を行うこととする措置を着実に実施する」

事を前提として拠出されるものである。財団の設立と運営は韓国側だが、資金の拠出は日本側と、日韓共同で行うものなのだから、「倍賞金」と言う性質は持ち得ない。合意の性質を考えれば韓国側が幾ら「10億円は賠償金」と喧伝したところで、「そうではない」と日本が言えば「10億円の拠出をストップする」理由になる。日本側に10億円を拠出させたいのであれば金兌玄としては日本側の言い分を呑むしかないだろう。既に外務省局長級協議を通じ、財団が実施する事業内容が「元慰安婦の心の傷を癒やす」との趣旨に沿うか見極めた上で資金を拠出する方針だが、外務省幹部のコメントとして

「具体的に何をするかは韓国側が考えることだが、日本側が納得できる最低ラインもある」

予防線は張られている。

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※今回の日韓外相の合意の骨子。
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※コイツらの始末に日本は関係ない。

仮に即座に10億円を拠出したとしても、その使い途の責任は100%この財団、ひいては韓国政府にある事になる。日本としては岸田外務大臣の言う様に

「資金支出が完了すれば、日本側の責務は果たしたことになる。韓国政府も日韓合意を誠実に実施していくと確信している」

日本側としては所謂慰安婦問題での責務は全て完了、後は「韓国側の国内問題」として残るだけである。そういう意味ではこの10億円は「手切れ金」としての意味合いもあるのだ。これについては合意発表直後の段階で「余命三年時事日記」が指摘しており、最近でも産経新聞「阿比留瑠比の極言御免」でも同様の見解が示されている

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※この世論の説得は朴槿恵の仕事。

そして韓国側の最大のネックは今回の合意を認めず、所謂慰安婦問題に「事実上の拒否権」を持つと言う「挺対協」の説得だが、それは韓国側の問題で日本には一切関係ない。挺対協が何を言おうが、そして韓国政府がそれをどう斟酌しようが所謂慰安婦問題は「最終的かつ不可逆的」に解決しているのだから、蒸し返す事、つまり再交渉は合意違反以外の何物でもない。当然日本側に話を持っていく事は出来ない。国際社会に訴えようとしても「国際会議等の場では互いの非難を控える」のだからそれも出来ない。日本は合意に基づく義務をキチンと履行するが、韓国側には例の出鱈目慰安婦像に関する

「関係団体(≒挺対協)との協議を行う等を通じ、適切に解決されるよう努力する」

と言う事項の不履行、と言う結果だけが残る。あの出鱈目慰安婦像はその前でデモが定期的に行われるなど明らかに大使館の平穏を害する為、公館の威厳の侵害を禁止したウィーン条約に抵触する事は論を待たない。更に公道上に無許可設置の代物なのだから、国際法どころか国内法にも違反している。「市民団体が設置したのだから政府は関与できない」なんて詭弁は通用しない。三者、即ち国際社会がそれをどう見るか?は自明の事であろう。

要するに「アレ」が存在し続ける限り今度は日本が韓国の「合意不履行」を半永久的に責められる理由になるのだ。そうなれば「アレ」は韓国にとって「国際法違反」及び「日韓合意不履行」、そして「法治国家でない」と言う「国際的な恥の象徴」と化すのだ。勿論世界の何処に建てようとそういう評価にしかならない。勿論撤去されるに越した事はないが、されなければされないで、日本側に「攻め口」を与えるだけだ。

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※そんな詭弁は通用しない。

韓国側としては挺対協の存在故に「解決はほぼ不可能」であり、朴槿恵の残り任期どころか後任が誰であれ「韓国大統領の頭痛の種」になり続ける。そして進む事も引く事も出来ず袋小路に追い詰められる…そういう狙いの「コスト」がこの「10億円」と考えるのであれば如何であろうか?

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※韓国から反論がなかった以上、「事実の指摘」は合意に反しない。

尚、「韓国側が『日本公館の威厳に対する侵害』をどう解消するか?」と言うテーマは本来所謂慰安婦問題とは直接関係がない。故に国際会議でこの件に関して韓国を非難しても「日韓合意の枠外」なのである。そうやって追い詰められた朴槿恵の選択肢は「挺対協に屈して合意を破棄するか」、「10億円を受け取って更に国政を混乱させるか?」であるが、どちらを選んでも自身にプラスにはならないだろう。国内と国外の板挟みでしかないのだから。その為の「10億円」、国民一人当たり10円の支出で今までの鬱憤を晴らせるのであればコストパフォーマンスとしては上々とも言えるがそういう観点での考察は如何であろうか?不肖筆者としては「それが狙い」であるならば「それはアリ」だと思う。
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※後は勝手にやってくれ。カネを出せばもう韓国の国内問題なのだから。