ワンセグ携帯にNHK受信料支払いの義務はない~さいたま地裁判決

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※法解釈の良いとこ取りは通用しなかった…

ワンセグ機能の付いた携帯電話を持っているとNHK受信料を支払う必要はあるのか?それが争われた裁判での判決がさいたま地裁で出た。答えは「否」であったのだが…
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160826-00000006-jct-soci

この裁判、埼玉県朝霞市の大橋昌信市議がワンセグ機能付き携帯電話を所有しているという理由でNHKから受信料を要求されるのは不当だとして、NHKに受信契約義務がないことの確認を求めて訴訟を起こしていた。不肖筆者もTVは持っておらず大橋市議同様ワンセグ機能付き携帯を持っているだけであり、同じ経験がある。不肖筆者はその時

「携帯の機種変更の際そういう説明は受けていなかった」

として

「そういう義務が発生するならキチンと説明があって然るべきだがそれがないのは不当だ」

と言って契約を拒否したのだが…

この裁判での争点は「放送法64条1項」の解釈であった。規定は以下の通りだが、
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原告側は

「電話を『携帯』しているだけでは設備を『設置』したとはいえない」

と主張。これに対してNHK

「設備が一定の場所に置かれているか否かで区別すべきでない。放送法の『設置』には『携帯』の概念を含んでいる」

とし、契約締結義務があるとしていたのだが、判決は

「別の条文は『設置』と『携帯』を区別しており、NHKの主張には無理がある」

と指摘。受信料負担の要件は、税金などと同様に明確にする必要があるとして、契約義務はないと結論付けた。

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放送法2条14号。ここでも「設置」と「携帯」は明確に区分されている。故にNHKの主張は通らなかった。

元々条文にも但し書きで

「ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」

とある。携帯電話はあくまでも「電話機」であり「TVを試聴する目的の機器」とは言い難いのでNHKの主張には無理があるのは当然で判決も妥当なものと言えそうだ。…但しNHKは控訴する意向を表明し、判決が確定するまで方針を変えるつもりはない模様だが…

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※そんな状態で現在の状況に対応できる筈がない。

そもそも放送法それ自体がテレビによる番組視聴を前提として作られており、現行制度の見直しは、視聴する機器が多様化する中、NHK内でも今後の検討課題とされながら手つかずだったと言う。それでいて「法解釈の良いとこ取り」で受信料を徴収しようと言うのはムシが好すぎる。…とは言え自民党内にも受信料義務化を求める意見もあると言うから油断大敵である。

突き詰めれば「法律が時代に追い付いていない」のが原因であるが、判決はNHK受信料支払いの議論に一石を投じた事に間違いはない。NHKは自身の在り方をも含めて判決に反発する前に考えるべき事は多いだろう。
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※まさにNHKに当てはまる台詞。