NHKとの受信契約義務は「憲法違反」なのか?

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※受信契約義務の憲法判断が行われる。

これはNHK受信料に関する「大きな転機」になるかも知れない。
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http://www.sankei.com/smp/affairs/news/161102/afr1611020026-s1.html
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憲法判断フラグが立った。

テレビがあるのに受信契約の締結を拒んだ男性に、NHKが受信料を請求できるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は2日、審理を大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付したのだと言う。

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※どういう名目でもNHKにカネを払いたくないのはヤマヤマだが…

最高裁での審理は基本的には2審での判決が憲法や法律に違反していないかどうかを調べるのであって、証拠を出して事実認定云々と言った審理は行われない。しかし、憲法判断や判例変更を行う場合の他、重要な論点が含まれる場合には15人の最高裁裁判官全員で審理する大法廷で審理を行う。従ってこの対応は最高裁として「放送法が定めるNHKの受信契約義務」について重要な判断を行う「フラグ」である事を意味する。

この裁判、1、2審判決によると、男性は平成18年に自宅にテレビを設置。NHKが受信契約の申込書を送ったが契約しなかったため、受信料を支払うよう求めていた。

1審東京地裁は「申込書を送っただけでは契約は成立しない」としたが、放送法に基づいて」男性に「NHKと契約を結んだ上で受信料約20万円を支払うよう」命じ、2審東京高裁もこれを支持した。ここまではNHKの勝訴」だと言えるが、これに対して男性側は

放送法は訓示規定なので違反しても支払い義務はなく、契約締結を強制する放送法違憲

と主張していた。最高裁がどの様な判断をするのかはまだ予測の域を出ないが少なくとも男性の主張を「上告理由として認めた」事は間違いなく、争点になっている「放送法64条1項」の規定について憲法判断がされるものと思われる。地裁、高裁段階では同様の裁判は多数あり、

「契約の自由は制約するが、公共の福祉に適合している」

などとして、「合憲」とする判決が相次いでいる。また、「ワンセグ携帯は受信料徴収の対象になるのか」が争われた裁判でさいたま地裁は受信料を

「放送視聴の対価ではなく、NHKの維持運営のために徴収権が認められた特殊な負担金」

とし、税金に準じる性格があるとしている。これらの下級審の見解を最高裁が採用すればNHKに有利な判決になりそうにも思えるが…?

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※これまではNHKに有利な判決が多いようだ。

また、もう一つ重要な論点は「放送法が倫理規範なのか否か」と言う点である。NHKに限らずTVでは明らかに公平を欠いた偏向報道が蔓延しているが、最高裁の判決如何では放送法は倫理規範に過ぎない」等と言えなくなる可能性も秘めている。そういう意味でもこの最高裁判決は要注目であろう。…もっとも放送法の規定は法規範」と判示されれば放送法64条1項の規定に拘束力がある事になるのでこの男性は「敗訴」になってしまう上、TVのある人は判決を理由にNHKとの受信契約を余儀なくされる公算が高いのだが。
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※最大の争点、放送法64条1項の規定。

どの様な判決になるかは予断を許さない状況だが、そもそも放送法それ自体が時代に適合していない事に変わりはない。個人的にはこの機会に「時代に適合した放送法の在り方」を国会に考えるよう求める内容が判決のどこかに入るのではないかと思う。明らかに時代の進歩に取り残された法律を改正しないのは国会の怠慢でしかない。それを国会に自覚させる為に司法が尻を叩きに「動いた」のであろう。一つの判決に一喜一憂するのではなく、その意味も考えるべき案件であるとも言える。
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※国民が納得出来る判決を望む。
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※油断大敵、と言う言葉もある。