イルカの認識能力

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※高い知能を示しているシロイルカの「ナック」

クジラの仲間は総じて「知能が高い」と言われるが、鴨川シーワールドで飼育されているシロイルカの「ナック」は物とそれを表す文字、鳴き方をセットで記憶し、指し示したり鳴いたり出来る事が実験で確かめられたのだと言う。

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この「ナック」は飼育員が言葉に出した「ピヨピヨ」「おはよう」など8種類の言葉をまねた鳴き声を出した事で、2014年に注目を集めたシロイルカなのだそうだ。この時は「単なるオウム返し」だったのだが、今回は

「人と同じような過程で物の名前を覚えた。」(実験を行った村山司・東海大教授)

と言う点が「特筆すべき」点であると言える。

「人間に一番近い」と言われているのはチンパンジーだが、チンパンジーもキチンと教え込めば「じゃんけんを理解できる」のだと言う。この事からチンパンジーには4歳児並みの理解力はある、とされているが、ナックはそのチンパンジーにも出来ない芸当をやってのけたのだと言う。
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※と、言う事らしい。

実験ではまず、潜水などで使うフィン(足ひれ)を見せたら「ピィ」と鳴いたり、「丄」の文字を選んだりするようにそれぞれ訓練。また、それとは逆に音声を聞かせたり、文字を見せたりするとフィンを選べるようになった。さらに、文字と鳴き方の関連は教えていないのに、フィンがなくても「丄」を見せると「ピィ」と鳴き、「ピィ」と聞かせると「丄」を選べるようになったのだと言う。また、マスク、バケツ、長靴も同様に、それぞれを表す鳴き方と文字を覚えることが出来た、と言う。実験ではヒントを与えないように人の視線を隠した他、ほうびの餌も与えなかったと言うからナックが自身の判断で対象物と鳴き声、文字を関連付けて認識している、と結論するよりなかろう。

「このような覚え方をするのは人だけだ。チンパンジーやオウムはできない」

と、村山教授が注目する訳である。

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※飼育員とコミュニケーションをとるナック。
※動画はこちらから

人間は余り意識しないのだろうが、動物の鳴き声にもそれなりに意味がある、と考えられている。例えばシジュウカラの鳴き声にも「文法」がある事が明らかになっている。また「物」に対する認識能力で言えば水族館のペンギンは人間が手にしている「カメラ」について「それが何なのか」は理解していないだろうが、「人間が手にしている『四角い物』」を構えた時に「その方向を向く」と「その人間が喜ぶ」事は認識していると受け取れる。不肖筆者が水族館でペンギンを撮影した時に受けた印象なのだが…
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※筆者がカメラを向けた瞬間、カメラ目線で対応したペンギン。無表情なのはご愛嬌。

「ナックは物の意味を理解していると言える。次は動詞を覚えさせることに挑戦し、人とコミュニケーションができるようにさせたい」

と、村山教授は言う。イルカにそこまで出来る知能があるならば、イルカを訓練する事で文字通りの意味で

「イルカとお話し」

出来る日が来るかも知れない。今後の研究の成果に注目したい。