明らかになったドードーの生態
※人間が絶滅させてしまったドードー。
当時の西洋人にとって「都合の良い食糧」程度の扱いしか受けなかった上、短期間で絶滅させてしまった為、「生物として」の研究など皆無であったし、その後もサンプルが極端に少ない為、殆ど進んでいなかった。しかし、最近の研究技術によってそんなドードーの生態の一端が明らかになりつつあるのだと言う。
南アフリカ・ケープタウン大学の生物学者、デルフィーヌ・アングスト氏と英ロンドン自然史博物館の研究者らによる研究によると、ドードーのメスは南半球の冬である8月に産卵し、9月にヒナがふ化した考えられるのだと言う。そしてサイクロンや嵐が発生する夏季に耐えられるよう、性成熟までのヒナの成長スピードは早かったとも考えられているのだと言う。また、夏が終わる3月ごろに羽の生え変わりが始まり、7月の終わりには成鳥の羽となっていたことも分かった。また、成鳥の体重は10~14キロだったと推定しているそうだ。
※全身骨格は残っている。
そもそもドードーは独特の外見であった上に研究材料が少ない為、「どの種だったのか?」すら不明確である。現在では一応「ハトの仲間だった」と言う説が一番有力、とされている。今回のアングスト氏らによる研究では
「ドードーの骨を細かく砕き、その構造を詳しく調べた」
のだと言う。そんな事したら当然元には戻せないが、それでも世界中の博物館に研究用サンプルの提供を呼びかけたところ、22の異なる個体、計22本の骨が集まったと言う。この様に世界中の研究者が協力しあえばこの鳥についてもっと色んな事が判るのかも知れない。また、実はドードーについては既に遺伝子情報は収集されており、近縁種の卵を利用する事で「ジュラシック・パーク」よろしく、クローン再生が出来る可能性すら既にある、と言えるのだ。
※「不思議の国のアリス」にも登場する。
だが、理由はどうあれ、一度絶滅してしまった種をクローンとは言え、復活させると言うのは倫理上の問題も孕んでいる。仮に採取されたDNAでドードーを復活させたとしても、そのドードーに「ドードーとしての」行動や習性を教え込むべき存在は何処にも居ない。英ロンドン大学経済政治学院社会学者キャリー・フリーズ氏の言葉を借りれば
と言う事に尽きる。
今回のアングスト氏らの研究はドードーに限らず、既に絶滅してしまった生物の生態の一端を知るのに有益な研究だと言える。しかし、残されたDNAから復活させる事は果たして「是」なのか「非」なのか?仮に復活させたとしてもそれでかつての人類の「過ち」を「取り戻した」または「償った」事になるのか?残されたドードーの骨がそういう疑問を語投げかけている様に思えてならない。
※残されたドードーの骨が何かを語りかけている…