米国、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定。

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※いよっ、大統領!やってくれました!

アメリカが対北朝鮮でカードを切った。言うまでもなく昨日未明の

テロ支援国家再指定」

である。

その根拠にしたのが2月に北朝鮮クアラルンプールの空港で起こしたVXガスによる金正男暗殺事件だ。また、北朝鮮に約1年半にわたり拘束された米国人大学生、オットー・ワームビアさんが今年6月に昏睡状態で解放され、帰国直後に死亡した事件も大いに影響している事は想像に難くない。この事件を受けて「再指定」を求める声がアメリカでは高まっていた。
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トランプ大統領のコメント要旨
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※波及的な効果は期待出来るだろう。但し時間はかかるが。

ティラーソン国務長官20日ホワイトハウスでの記者会見で、今回の再指定は

金正恩体制がいかに無法で残忍であるか」

を国際社会に印象づけるためのもので、

「多分に象徴的な措置だ」

と、述べている様にアメリカも既に多数の制裁を北朝鮮には課している。その点で実効性を疑問視する声があるのも事実だが、今回の指定でアメリカ政府は、北朝鮮と貿易取引のある個人や国に対する制裁を強化出来る。特に軍民両用関連の取引は、アジアやアフリカなど第三世界の国々と北朝鮮との間で小規模ながら続いており、事実上の制裁の「抜け穴」と化しているのが実情だと言う。そういう「抜け道」を塞ぐ効果は期待出来るだろう。北朝鮮と心中する覚悟でアメリカの制裁対象になる国が果たして何処まで出てくるだろうか?

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日本政府は歓迎の姿勢で

北朝鮮に対する圧力を強化するものとして歓迎し、支持する」(安倍首相)

「国際社会が北朝鮮への圧力を強めていくことに資するものとして歓迎したい。さまざまな効果、機能がある」(河野外相)

北朝鮮が強く反発することが想定され、新たな挑発行動に出ることが否定できない。警戒監視を強めていく」

北朝鮮は2カ月ほど弾道ミサイルなどの実験をしていないが、当然、さまざまな研究開発を続けていることも否定できない。引き続き国際社会の一致した圧力が必要だ」(小野寺防衛相)

等とコメントしている。現在の日本には俗に言う「テロ対策三法」や「テロ等準備罪」がある。「アメリカがやった事だから日本には関係ない」とはならない。アメリカの追加制裁の内容如何によっては「テロ対策三法」や「テロ等準備罪」が実際に適用されるケースが出て来ても不思議はない。これらの法律があって本当に良かった。安倍首相の先見の明に感謝すべきであろう。

しかし、「安全保障」と言う点で言うなら日本の安全保障の危機である事に変わりはない。
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北朝鮮核兵器完成間近で、既に日本のほぼ全土を射程に収める弾道ミサイル「ノドン」を数百発も配備している。これらに対して憲法9条が無力以外の何者でもない事は明白だが、記事が指摘する通り、万が一、米支朝の水面下接触や秘密交渉などで、北朝鮮に突き付けた「核・ミサイル開発の完全放棄」という条件が、「米本土に到達可能な核ミサイルの破棄」に下げられた場合、日本は最悪の事態に陥る。

北朝鮮が日本のほぼ全土を射程に収める核ミサイルを数百発持つ」

という悪夢が現実となりかねないのだ。「憲法9条をあくまで護持する」と言うならコレから日本の安全保障を「どう担保」するのか?それを明確にしない限り誰もその意見に耳を傾けまい。

この様な「悪夢のシナリオ」を回避するには「そうさせない」だけの自前での抑止力の保持が前提になるがその障害こそが憲法9条である。

官邸周辺は

「トランプ政権は『日本を置き去りにしない』

オバマ政権とは違う』

と伝えてきている、との認識だそうだが、こういう時に自分達の安全保障が「他国任せ」と言う現状こそが異常ではないか。自分達の国を自分達で守る、と言う事の何が悪いのだろうか?それを他者が聞いて納得させられるだけの意見を言える人は居るのだろうか?
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※何を考えているのか?
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アメリカに軍事攻撃の口実を与える真似をするのか?

北朝鮮がこの決定に反発するのは火を見るより明らかだ。「年内にもミサイル発射」なんて囁かれてもいるが、こうなってしまうと「軽率な軍事行動」はアメリカに北朝鮮攻撃の口実を与える事にもなりかねない。そこまでの「リスクを背負う度胸」が金正恩にあるのだろうか?

…いずれにせよ、アメリカのこの措置で北朝鮮問題が動き出し、日本もそれに対応する必要が出る事はまず間違いない。金正恩がどうなろうが知った事ではないが、奴が独裁者のままである限り、同時に北朝鮮の核・ミサイルが全て廃棄された事が確認されない限り「北朝鮮の脅威」が消え去る事はない。「何か事が起こってから」では遅いのである。これから起こるであろう事を想定し、その「備え」を怠ってはならない。これからの関係各国の動きを注視するべきなのは言うまでもない。
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※この言葉が実践されるのか…