「事実上の絶滅」となってしまったキタシロサイ


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キタシロサイスーダン」。彼の死でキタシロサイの雄は地球上からいなくなってしまった…

…実に悲しい「お知らせ」である。

キタシロサイ」と言う絶滅の危機に瀕しているサイ、とうとう最後の雄が死んでしまい、残るは雌2頭、となってしまい、「事実上絶滅確定」、「本当の意味での絶滅」も時間の問題、となってしまったのだ。

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※残された雌2頭は「スーダン」の娘と孫娘…
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この「キタシロサイ」については3年ほど前に記事にしていた。この時点では雄1頭、雌4頭の5頭が生存しており、既に近縁種のサイを代理母とする形での人工繁殖の可能性が模索されていたのだが、残念ながら人類は事態の打開をする事が出来なかった。3年前の記事の時点で「近縁種」と考えられていたミナミシロサイはその後の研究でそうでもない事が判明、今回亡くなった雄「スーダン」は45歳とこのサイの繁殖可能年齢を越えていたのだ。その上残された雌2頭はこの「スーダン」の娘と孫娘との事。間違っても交配させられない。キタシロサイにとっては「最悪を絵に描いた様な環境」だったのだ。

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「何でもっと早く保護をしなかったんだ?」と言う疑問が出るのは当然であろう。このサイの生息域はアフリカのコンゴ南スーダンウガンダ、チャドと言った地域であり、農地開発による環境破壊はもとより密猟も後を絶たなかった。その上これらの地域では内戦まで起こっており、保護すらままならなかった、と言う事情もあるのだ。その上、個体数の減少が激しく、気付いた時には既に手遅れだった、と言うのだ。人類の業は果てしなく深い。

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漢方薬として珍重、と言っても実は薬効などなかった。

それでもキタシロサイ精子卵子は冷凍保存されている、と言うのでそれらによって現在は困難でも将来キタシロサイを復活させる事は出来るかも知れない。だが、だからと言って人類がキタシロサイを絶滅に追い込んだ事実がなくなる訳ではない。こうなってしまっては人工繁殖の成功と残されたキタシロサイが1日でも長生きし、「絶滅」と言う事態を「少しでも遅らせる」事を祈るよりない。やはり「人類の業」は果てしなく深い。「人類のせいで絶滅してしまった」種がキタシロサイで最後になる事を望む。