問われているのは参議院の「在り方」だ。



参議院の定数を6増やす公職選挙法改正案が可決、成立した。次回の参議院選挙から適用される。
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議案提出から2週間余りのスピード成立、そして賛成は与党のみ、野党は軒並み反対に回った為、「採決を強行」だなんてメディアは言うが、一応は正規の手続きは踏んでいる。「野党が同意しない採決は強行採決」と言うのは印象操作でしかない。ただ、確かに拙速な感は否めないだろう。

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一票の格差是正」と言う大義名分があるとしても小手先の改革ばかりで毎回定数が変わるのではその度に「救済議員」が発生する無限ループに陥る。また選挙制度改革を各党で話し合うにしてもどの党であれ、自分達に少しでも有利な制度を模索するのは目に見えている。そういう意味では「誰もが納得する選挙制度」の創設は極めて難しい、と言う事も出来る。今回の自民党案にも既にこういう問題点が指摘されている。「民意を正確に反映する選挙制度」と言えるかは疑問が残る。

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野党は当然反発している。

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自民党としては

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この様に反論しているものの、

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と、船田元は棄権し、小泉進次郎

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と、本心からの賛成でなかったと述べているに等しいコメントを残した。

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だが、真に問われているのは参議院選挙制度や「一票の格差」解消ではないだろう。参議院そのものの在り方が問われている、と言っても過言ではない。既に「一院制」を主張する声はそれなりに上がっているのだから。


参議院明治憲法下の「貴族院」の後継である事はまず間違いないだろう。その貴族院議員は国民が選挙で選ぶ事の出来ない「民意とは無関係の」議院であった。それにも関わらず民意を反映する衆議院とは同等の議院として存在する異色の議院だった、と言える。戦前で「衆議院の優越」は「予算先議」だけだったのだ。

戦後、貴族院参議院として生まれ変わり、議員も国民の投票で選ばれるようになった。また憲法の規定によって「衆議院の優越」が明確になったが、それでも「参議院の力」は他国の上院に比べると相当に強いものなのだと言う。「ねじれ国会」を見れば明らかな様に与党が衆参両院で過半数を確保していないと日本の政治は停滞するのは確実である。

参議院を「良識の府」だとか「再考の府」だpなんて言う事もあるらしいが実際は「ねじれ国会」となれば政治を停滞させ、そうでなければ存在感を発揮しづらい。郵政改革の際に法案を自民党からの造反もあり否決、なんて事もあったが、直後に総選挙となり、郵政民営化賛成票が衆議院で圧倒的多数を占めるとダンマリになってしまった。

そんな参議院アメリカ上院の様な地区代表、と見る向きもある。アメリカの上院議員はそういう「割り切り」があるので「一票の格差」は問題にしない。参議院にもそういう面を求めるなら小手先の選挙制度改革より、憲法でそうだと割り切った方が手っ取り早い。

いずれにしてもそういう議論をする方が「建設的」なのだが、そういう発想に国会が踏み切れるのか?真に問われているのはそういう事である。