首相の器
※「賢明な撤退」ではない。
9月に自民党総裁選が予定されている。焦点は
「安倍首相の三選なるか否か」
「対抗馬に誰が出馬するのか?」
岸田文雄は会見で、
と、述べた。判断それ自体は賢明な判断ではあるが、この者の場合、その判断は「大局的な見地」によるものではなく、「自らの器の小ささ」によるものだと言えそうだ。
岸田文雄は第二次安倍内閣で外相に就任して以来、4年7ヶ月もの間その座にあった。外交は安倍首相の得意分野、と言えるがそれを支える力になっていたのは間違いないだろう。その意味で功績はあるとも言える。だが、それはどうも
「あくまで安倍首相のリーダーシップあって」
の話だったのか?産経によると6月18日、岸田文雄は安倍首相と二人で会食した際、総裁選出馬の是非について
「私はどうしたらいいのでしょうか?」
と「冒頭に」安倍首相に切り出したのだと言う。この時点で「失格」である。
※岸田文雄は自分の器を知らんのか?
出馬するのであれば安倍首相は「乗り越えなくてはならない相手」となる。安倍首相は首相、そして自民党総裁としてのこれまでの実績を強調出来るが、岸田文雄の場合、以前の外相としての、そして現在の政調会長としての実績しか材料はない。そういう点で「最初から大きなハンデを背負っている」のは仕方ないが、それでも
「総裁選で安倍首相に勝つ」
と言う気概があるなら「自分が総裁になったらどうする、と言うプラン」やそれに対する期待感を党員に持たせるよりないだろう。だが実際にそういうプランがある訳でもなく、そもそも乗り越えなくてはならない相手に自分の出馬の是非を相談している時点で話にもならない。「自分は首相の器ではない」と言っているに等しい。安倍首相が呆れた、と言うのも当然であろう。
「次の総裁には誰が相応しいか?」
岸田文雄が不出馬、野田聖子は折からの情報公開請求漏洩問題で最早出馬どころではあるまい。推薦人が集まるかどうかすら怪しい状況だとも言われるだけに問題を背負ってしまっては問題にキチンと対応したとしても巻き返しはコレで絶望的だと言えそうだ。
※まず「勝てない」のは確実であろう。
結局「消去法同然」に「安倍首相VS石破茂」の一騎討ちと言う形になるのは容易に予想出来る。安倍首相は既に主な派閥の支持を取り付け、国会議員票では石破茂を圧倒している模様だ。岸田派が安倍首相支持に回り、各議員が自身の地盤の票を纏め上げれば安倍首相の三選はほぼ確実であろう。だが「石破茂との一騎討ちは避けたい」と思っている安倍首相は
「岸田さんに出てもらった方がいい」
「今さら支持するといわれても遅い」
などと語っていると言う。仮に安倍首相三選、と言う結果になってもこれでは岸田派が冷遇される結果になっても仕方ない。それもこれも派閥の頭である岸田文雄の「優柔不断」さがその原因である。
「政権が苦しいときに支持を打ち出しておけばよかった」
なんて後悔するより自分達の頭の不甲斐なさをどうにかすべきであった。
※そう言う気概が岸田文雄には欠けていた。
岸田文雄は自己分析も出来なければ、周囲を見渡す視野も持ち合わせてはいない、と言う事だけは判った。その程度の器量では「トップは狙えない」のはまず間違いない。またここは出馬を見送って「3年後の禅譲」に賭ける、なんて考えは甘いにも程がある。現状の器ではどれだけ岸田文雄が安倍首相に貢献した所で「その目はない」と断言できる。「首相の器ではない」事を自ら示してしまったからだ。どうしても「禅譲」を期待する、と言うなら3年の間で自身を磨いて変わり身を見せるよりないが、それでも河野外相の方が断然まともであろう。せめて河野外相を越えていなければお話にもならないが、現在の岸田文雄からすれば、それさえも「相当に高いハードル」であろう。岸田文雄、「お先真っ暗」である。
※皮肉でしかないか…