医師育成に公益性はあるのか?

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※この見解は決して無視出来ない。

東京医科大で発覚した「女子受験生一律減点問題」、「女性差別」と批判の声が殺到している。何せ前理事長の指示で、読売新聞によると



この様にして女子と4浪以上の合格者を意図的に抑制する仕組みを作っていたのだ。勿論、受験生が知る由もないのは当然だ。

だが、その読売新聞では同時に


と、

「一部私大医学部が女子と浪人には厳しい」

と言うのは「常識」に近かった、と言う声もある。

確かに「受験競争の公平性」と言う観点からは問題がある。しかしこの一件、学校側としても「そうしなくてはならない」言い分、と言える物はある様なのだ。
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タレント女医として名が通っている西川史子は5日のTBS「サンデージャポン」で

「当たり前です、これは。(東京医大に)限らないです、全部がそうです」

と、断言。その理由は?と言うと

「だって、(成績の)上から取っていったら、女性ばっかりになっちゃうんです。女の子のほうが優秀なんで」

と、言うことらしい。

だが、それでは誰も納得しないだろう。西川史子は更に

「(女性医師の割合が増えたら)世の中、眼科医と皮膚科医だらけになっちゃう」

また、

「重たい人の股関節脱臼を背負えるかって言ったら、女性は無理なんです」

と言う実例も挙げていた。
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※調査結果は近く公表されるのだが。

勿論全ての女医が大男の股関節脱臼に対応出来ない、とは言えない。対処出来るだけの力がある女医だって居るだろう。しかし、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」(2016年度)によると主な診療科の構成割合を性別でみてみると(臨床研修医を除く)、女性では「内科」(15.5%)「小児科」(9.0%)「眼科」(7.8%)「皮膚科」(6.7%)の順なのだと言う。西川史子の言う「女医が増えると眼科と皮膚科だらけ」と言うのはそれなりに的を得ている発言であると受け取る事も出来るだろう。この調査では、男性は「内科」(21.2%)、「整形外科」(8.4%)、「外科」(5.6%)の順。女性の「外科」は1.3%だったそうだから、女性外科医が少ない、と言うのは間違いないだろう。西川史子

「(女性は)外科医は少ないです。外科になってくれる男手が必要なんです。おなかが大きくては手術はできないんです。だからやっぱり、女性と男性の比率はちゃんと考えてないといけないんです。男性ができることと、女性ができることって違う」

ともコメントしたが、よく考えれば医師になるには医師免許が当然だが必要だ。その為には医師国家試験に合格しなければならない。学生の立場からすれば「◯◯科の医師になる」と決めたならそれに必要な知識や技術を一生懸命習得する事になるが、学校側からすれば医師国家試験合格の為の教育機関が医学部のみである以上、医師界全体の事まで考える必要がある。憲法で言う「健康で文化的な最低限度の生活」には当然「充実した医療を受けられる」と言う事も含んでいる。日本の何処であれ、必要な医療を必要な時に受けられる、と言う状況を作り、維持するのは「医学部の社会的責任」と見る事も不可能ではない。

そういう観点からだと

「◯◯科の医師が不足しているが△△科の医師は余っている程」

なんて状況が発生した場合、当然医学部としては余っている△△科の医師より不足している◯◯科の医師をより多く誕生させたい、と考えても不思議はない。だが、学生にそういう現状を説明して「考えてくれる」事を期待しても学生に「◯◯科の医師になれ」なんて強制する事は出来ない。と、なると学校側としては試験の際に

「試験成績優秀な△△科志望の受験生より多少試験の成績が下でも◯◯科志望の受験生を学生として迎えたい」

なんて考え、実行しているのだとすればこういう事が起きる事は考えられる、とは言えないだろうか?
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※学校側の言い分も一理あるが…

要は学校側が言うであろう「診療科目医師のバランス」に「公益性」が認められるのか?と言う話になるのだろう。本当に必要な診療科目の医師を育成していたならまだ言い訳も多少は成り立つが、それでも受験生に秘密にしていた事は不当である。それはそれでケジメを付けるべきだが、「医師育成の公益性」については考える必要がある、とも言えるのである。