小沢一郎の二枚舌
「小沢一郎の別荘が近くにあるから」
と言う噂話は耳にした事もあるが、小沢一郎がこの土地を購入したのは
現在の辺野古の人口は2千人程だと言う。基地が移設されると米軍関係者2千人程の人口増が見込まれると言う。単純に倍増だ。そうなると
「地元経済活性化→地価上昇」
と言う流れは見込める、と言うのは理解出来る。だが、そこで
「流石小沢一郎、先見の明がある」
なんて納得している場合ではない。何せ購入したのは2005年11月の話だ。この時点での「普天間基地移設問題」の状況を考えると
「とんでもない疑い」
も出てくるのである。
「15年限定」
を表明、当時の名護市長も
「地域振興策とセット」
と言う条件を出していた。アメリカ側はこれを拒否し、交渉の末
「辺野古へのV字滑走路」
と言う現行案で決着したのは2006年5月の事であった。小沢一郎の別荘用地購入直前には
「L字滑走路案」
が出されている。つまり「辺野古への基地移設」の具体案が出て来た直後のタイミングだった訳だ。ここで記事が指摘する様に
「辺野古移設に関して『国会議員、それも野党とは言え、大物議員の立場で』知り得る」
情報、例えば日米間の交渉の内容や見通しなどが考えられるが、それらを承知でこの場所を購入していたのだとしたら…?
「基地移設問題の決着を知って公表前に土地購入に動いていた」
のであればインサイダー取引と構図は殆ど変わらない事にもなりかねない。
《移設問題にまつわる情報を得られる立場の国会議員が、米軍基地に近い土地を買うことについて、
「政治家としての資質を問われかねない行為だと思います」(政治アナリストの伊藤惇夫氏)》
と、週刊新潮が言うのはこういう事である。
小沢一郎はこの土地を
「引退後に自身で使用する」
為購入した、と言うが、当初は「転売目的」が噂されたそうだ。また、週刊新潮が言う様に
「米軍幹部への賃貸」
だとすれば
「基地移設反対」
を掲げる自由党の方針と矛盾する。基地移設反対なら米軍関係者の移動を見込んでの
「米軍幹部への賃貸、と言う『投機目的』での購入」
なんて話は最初から出てこない筈だ。これらの事からこの件での小沢一郎は
「基地移設実現なら米軍幹部に貸して『個人として『実』を得』、基地移設を阻止出来たら『政治家として『名』を得る』」
と言う狙いがあるのでは?と言う疑いを否定出来なくなる。まこと悪どいやり口だが、小沢一郎だけに「有り得る」話だとも言える。
こういうのを世間では
「二枚舌」
と言うのだろうが、そんな小沢一郎を「師」と仰ぐ玉城デニーは小沢一郎の何を信じているのだろうか?週刊新潮の指摘通りなら玉城デニーが沖縄県知事となって辺野古への基地移設を奇跡的に阻止しようがしまいが、また、知事選に落選して玉城デニーが全てを失っても小沢一郎にとっては「名実どちらか」が手に入る事に変わりはない。総合的には痛くも痒くもないのである。
そういう「強かさ」が小沢一郎の強み、と言ってしまえばある意味ではその通りなのだが、政治家としての「倫理」からすれば大いに疑問が湧く。小沢一郎に「清廉潔白」を求めるのは最初から野暮なのだろうが、こういうのをのさばらせておくだけで日本の政治の質は悪化する。所詮は彼は
「政治家ではなく『政治屋』」