トランプ大統領のINF条約破棄宣言は戦略か?
「トランプはとうとう本当に気が狂ったのか?」
「反トランプ」陣営からはそんな声も聞こえて来そうなトランプ大統領による
「INF条約破棄」
の方針。だが、見方を変えるとトランプ大統領の狙いにも「一理ある」と言える部分はある。
INF条約とは1987年、当時冷戦真っ只中の米ソの間で結ばれた
「中距離(射程500~5000km)核戦力全廃及び恒久的な放棄」
と、表明、具体的には
「ロシアの新型地上発射型巡航ミサイル」
を条約違反と非難、一方ロシアも
と反発している。
トランプ大統領はこの様に述べ、
「ロシアが条約を遵守しないから条約に意味がない」
「突然の条約破棄表明」
では「乱暴」と言う批判は免れないだろう。また条約を破棄して米露の際限なき軍拡競争を行おう、と言う訳ではあるまい。そうした所でそれが「不毛な結果にしかならない」事はトランプ大統領だって承知の筈だ。
「何か狙いがある」
とするならその言動にも意味は出てくる。
※羽田空港から5000km、7500km、10000kmの範囲を色分けしている。
上記の画像は羽田空港から5000km、7500km、10000kmの範囲を色分け(出典)したマップである。ご覧の通り、例えばアメリカがINF条約を破棄して射程5000kmのミサイルを量産し、それを極東の米軍基地に配備したら支那の支配領域のほぼ全てが射程圏内となる。「米軍基地から発射」ならまだしもこの手のミサイルを原潜から発射出来る仕様となると支那は迎撃どころかそれを事前に察知する事さえ極めて困難であろう。支那からすればこんな迷惑な話はない。
」
勿論「軍拡には軍拡で対抗」と言う発想は出てくるだろうが、既に貿易戦争で経済にダメージは出ている中で支那がアメリカに対抗出来るだけの軍事費を捻出出来るのか?出来たとしても無理があれば必ずダメージとして自身に「ブーメラン」となるし、出来なければその時点で「戦わずして負け」確定だ。
「協定は米露支でのINF条約の焼き直し」
とでもなれば今まで支那が「INF条約に関係ないから」と増強し続けてきた中距離ミサイルは労せずして無力化される。
まさに「踏んだり蹴ったり」だが、トランプ大統領が「そこまで考えて」この様な事態にしているのであれば「相当な策士」であろう。日本も間接的な影響があるだけに事態を注視しなくてはならないのである。