植村隆のスラップ訴訟の結末


※「捏造記者」と、裁判所の御墨付きが出てしまった。

朝日新聞の元記者で、慰安婦関連の出鱈目記事を書いて「所謂慰安婦問題」の発端を作った植村隆、最近は「慰安婦記事を捏造」と指摘した保守系論客や出版社を相手に「名誉毀損」として訴訟を行う事に尽力している模様だ。だが、その本質は「スラップ訴訟」域を出ないものでしかない、としか思えず、裁判所も同感なのか、植村隆の請求は「またもや」棄却されたらしい。


植村隆による慰安婦問題発端の記事。

植村隆は1991年8月に韓国の慰安婦について調査していた団体から金学順と言う自称元慰安婦の証言を収めたテープを入手、その内容を基に記事を書いたが、その際に

「女子挺身隊として日本軍によって戦場に強制連行されたという事実と異なる記事を書いた」

コレが「所謂慰安婦問題」として日韓の外交上の問題になる。植村隆

日中戦争や第二次大戦の際、『女子挺身隊』の名で戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、1人がソウル市内に生存していることがわかり、『韓国挺身隊問題対策協議会』(尹貞玉・共同代表、16団体約30万人)が聞き取り作業を始めた」

と記事に書いている。これを普通に読めば「女子挺身隊=慰安婦」としか読めないし、意図的かどうかはさておき「読んだ人間が誤解する」書き方である事に疑いの余地はない。しかもその間違いを指摘する言論は比較的早い段階から出ていたにも関わらず、朝日新聞が記事の間違いを認めて取り消したのは記事が出てから33年後だった。その間、多くの保守系論客から同様の指摘を受けた植村隆だが、それらに反論するわけでもなければ、自身の記事の正しさを証明する「物証」を出す事もなかった。やった事、と言えば「捏造記者」と批判した保守系論客や出版社を名誉毀損で訴えた事と、「慰安婦強制連行」信じる愚物共の前で都合の良い話をしていただけだったと言っても過言ではない。

※刑法230条。

名誉毀損」刑法230条に規定がある。条文によると「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損」する事が構成要件で、摘示した事実が「真実であるか否か」問われない。つまり植村隆を「捏造記者」と非難し、それによって植村隆の名誉が毀損され、本人に不利益が生じた場合、外形的には植村隆に対する名誉毀損は成立し得る。

実際判決でも

・金学順の経歴を一部書かなかったという点で意図的に事実と異なる記事を書いた

植村隆の義母は、韓国遺族会の幹部であったことから、植村隆が義母の裁判を有利にするために意図的に事実と異なる記事を書いた

・金学順が「女子挺身隊」として日本軍によって戦場に強制連行されたという事実と異なる記事を書いた

と言う3点についてはそれを以て「植村隆の名誉を毀損した」と認めている。

だが、「事実を摘示して誰かの名誉を毀損」すると確実に犯罪になる、と言うのでは「表現の自由」「言論の自由」「報道の自由」などの観点から問題が出てくる。そこで230条の2で免責要件が定められている。

それは

・公共性
・公益性
・真実性または真実相当性

を満たす場合、仮に対象者の名誉を毀損する結果を生じさせても罪には問われない、と言う事である。

植村隆の記事には「正義」などなかったのだが。

今回植村隆が訴えたのは西岡力麗澤大学客員教授週刊文春だが、そもそもの植村隆慰安婦記事は朝日新聞に掲載された記事である。新聞記事であった以上、「公共性」の有無は明らかである。また、テーマは「戦時中の日本軍による朝鮮半島での行い」であるのだから、植村隆個人の事情やその家族と言った「プライベートな話ではない」事も論を待たない。従って問題は

植村隆の記事が真実なのか否か?また植村隆の記事を批判し、植村隆を『捏造記者』と断じる結論に『真実相当性』はあるのか」

と言う事になる。

例え植村隆が自身の記事の正当性、真実性を立証出来たとしても、それだけでは勝訴にはならない。そうであっても西岡教授や週刊文春が「植村隆を『捏造記者』と判断するに足りる相当な理由」があれば彼らの表現や植村隆を批判する記事の内容がどうであれ、罪に問われるまでには至らない。想像以上に「名誉毀損」ハードルは高い。

ここで証言をした金学順は「キーセン(妓生)」出身だった事は植村隆の記事では触れられていない。西岡教授この点について

キーセンであることは日本軍による強制連行というストーリーに都合が悪いから、わざと省いた」

と、したが裁判所はこれを「(その様に)推論したことには一定の合理性がある」と判示した。そもそも韓国紙では「金学順がキーセンだった」事は普通に報道されていたのだ。また、

植村隆の義母は、韓国遺族会の幹部であったことから、植村隆が義母の裁判を有利にするために意図的に事実と異なる記事を書いた」

と言う点についても記事が掲載された直後に金学順が会見を行い、同年中に日本政府を相手に訴訟を起こしている事から「そのタイミングを考えるとそういう推論に一定の合理性がある」と、判示している。

先述した様に、植村隆は記事の間違いを指摘されたり、またその記事の執筆者として

「名指しで批判」

されても反論や反証を行わなかった。コレは植村隆のみならず朝日新聞同様だった。裁判所はこの点を重視したのか、

「そういう対応で被告が自身の主張を正しい、と、思うのは当然

と、認定した。自業自得である。

そういう真似をしておきながら「捏造記者」と呼ばれる事を阻止しようと裁判に出る、なんて虫が好すぎる。結果的に裁判所に

「女子挺身隊として日本軍によって戦場に強制連行されたという事実と異なる記事を書いた」

という点について「真実性」を認定されると言う植村隆にとって最悪の結果になった。スラップ訴訟なんぞを行った「当然の報い」である。言論人としての矜持があるなら訴訟に頼らず、言論で勝負すべきである。