LNTかホルミシスか。

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1954年のアメリカによるビキニ環礁での水爆実験の所為日本漁船第五福竜丸被爆し、死者まで出た。当時の国民に反核感情を巻き起こし、これに抗議するテーマで「ゴジラ」が制作された。更にこの水爆実験の所為で(映画では)ゴジラキングギドラが出現した設定でも有名だが、現実的な話では他にも被爆した漁船があった事は知られていないのだろうか?

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ビキニ環礁での水爆実験の被害者

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ビキニ環礁での水爆実験の被害者

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ビキニ環礁での水爆実験の招かざる副産物


厚生労働省は19日、第五福竜丸以外の漁船の船員について被曝状況を調査した文書などを開示した。開示文書によると、調査対象となった延べ556隻中12隻の船員に一定量以上の被曝があったが、いずれも健康被害が出るとされる国際基準を下回っていた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140919-00000113-mai-soci

文書によれば被曝量が最大だった船員は毎分988カウントで、これを2週間同じペースで被爆した場合の線量は1.68mSvになる。因みにCTスキャンを受ければ7~20mSvは被曝すると言う。更に健康に影響を及ぼす線量は国際基準で100mSv以上とされ、厚労省は「直ちに健康被害が出る線量ではなかった」としている。第五福竜丸の船員の被曝線量は1.6~7.1Svとされていた。如何に第五福竜丸の被曝線量が突出していたかが窺える。

この文書を巡っては、86年の衆院予算委員会で国会議員の質問に対し旧厚生省の幹部が「見つからない」と答弁。市民団体から今年7月に請求があり、古い書類を保管する茨城県内の倉庫で見つかった…そうだがこれはどうも胡散臭い説明にも思えるのだが…?

閑話休題、今回のテーマである「低線量被曝」についてである。

放射線が人体に与える影響についてはまだ解ってない部分も多く、幾つかの学説がある。一つは「LNT仮説」と呼ばれており、これは如何なる線量の被曝でもリスクになるとする。要するに被曝線量が少ない程放射線による健康リスクは低下すると説く。従って被曝線量と健康リスクが比例する。

これに対してホルミシス仮説」と呼ばれる仮説は「ある一定量の被曝は健康にプラス、それを超えると健康リスク増」と説く。この説で被曝線量と健康リスクをグラフ化すると(歪んだ)U字型になる。

両説に共通しているのは「短時間で高放射線を浴びると絶対確実に危険どころか即死する可能性もある。」と言う事だ。この点に異論はなかろう。


学会の主流派はLNT仮説だ。だが何故ホルミシス仮説を主張する人間がいるのか?提唱したトーマス・ラッキー博士は様々な統計からこの結論に至っている。

ラッキー博士の集計した米英加計8箇所の核施設の労働者100%の被曝量と癌死亡率の統計では被曝量が増えるに従い、癌死亡者率が下がり、死亡率ゼロに近づく被曝量は、50mSvから100mSvの間に位置すると言う。8施設毎の統計でも、全く同じ傾向で、1部では100mSv を超えて迄死亡率がゼロに限りなく近づいたケースもあったと言う。


非被曝労働者集団45,825名における千人当たりの癌死亡率は5%、上記の統計を被曝労働者の癌死亡率と被曝量との関係を集団毎に並べると、驚くべき結果となった。最も癌死亡率が少なかった被曝集団の死亡率は4%で40-50mSv 被曝時だった。

非被曝集団は5%で、幾つかの集団は被曝量が増える毎に死亡率が下がり、4%、40-50mSv あたりで下限となり、被曝がそれ以上の集団では再び死亡率が上昇した。しかし最高被曝集団の癌死亡率が1000mSv 被曝していても、非被曝労働者の癌死亡率よりも低い死亡率(≒4.7%前後)となったと言う。

ラッキー博士は結論として、
8集団全体では、100mSvを超えても癌死亡率は被曝したほうが低いということ

50mSv あたりで被曝者癌死亡率が最低となるが、1000mSv を超える集団(4,716人)でさえ、被曝しない労働者より統計的に有意。

8万人以上の集計結果から得た結論だと言う。

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福島第一原発の惨状

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※福島への風評被害を助長する偽善者達。

予め断っておくが、筆者にはこれを以て福島第一原発の事故を過小評価する意図はない。事故は事故である。だが避けられない命題としてあるのが放射線リスクとどう向き合うか?」あくまでその判断材料としての話である。

普通に生活していても年間2.4mSv被曝すると言われている。但しこれはあくまで平均値であり、地域によって差異がある。例えばソウルは東京の3倍近くの放射線を検出しているし、年間10mSv以上の放射線に曝される場所もあるのも事実だ。

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※世界中の放射線量の概略

例えばブラジルのガラパリという場所は高放射線地域で有名だが、普通に人々が生活しているどころか、この場所の砂浜は健康に良いと砂風呂に入る人々が後を絶たないと言う。またラドンラジウムといった明らかな放射性物質がある温泉も健康の為と入る人々は幾らでもいる。温泉という場所柄最も無防備な状態でいるにも関わらず、だ。LNT仮説で説明出来ない現象もあるという事実も認識しなくてはならない。

…いずれにしても核を扱うメリットもあればデメリットもある。日本にも原発再稼働するか否かの選択がある。これらを感情的に判断するのではなく、先ずは核や放射線に対する正しい認識を身に付ける必要がある。議論はそこからではないだろうか?

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※核の権化が核施設を襲撃する皮肉。