アサリの産地偽装を見破る手法の確立
※もう誤魔化しは効かない。
「熊本産」のアサリが実はその殆どが支那産だった、と言う衝撃が冷めやらぬ中、東大などの研究チームが「科学的にアサリの産地を判別する手法」を開発していたのだ。これでもう誤魔化しは効かない。
記事の掲載と発表のタイミングから熊本の産地偽装事件を受けて即座に確立させたのかと思ってしまうが、記事を良く読むと「1月に論文発表」とあるからたまたまタイミングが被っただけなのだろう。まぁ、良からぬ噂が出ていてそういう依頼が秘密裏にあったのかも知れないが…
その手法とは
「アサリの殻に含まれるネオジムを測定する」
と言うもの。「ネオジム」とはレアアースの一種で磁石や防塵などの特殊機能を持ったガラス、超伝導体の材料として使われたりする。安定した同位体が多数存在するのが特徴で、その割合は地質により異なると言う。また、その「ネオジム」はアサリの殻に取り込まれ、蓄積されるのでこれを調べれば日本沿岸産なのか支那産なのかは一目瞭然、と言う訳だ。
アサリは見た目では何年生きたヤツなのか判別が難しいと言う。それも今回発覚した産地偽装の理由になっている様だ。
外国からアサリの稚貝を輸入し、日本の干潟に撒いて一定期間育てる(=蓄養)自体は違法ではない。が、こういうケースでは外国にいた期間と日本で蓄養した期間の長い方を「原産国表示」するのが法律の定めである。要するに支那から輸入したアサリの稚貝が一年物なら熊本の干潟で一年以上蓄養して出荷しなければ「熊本産」とは名乗れない訳だ。だが、業者はそれでは利益にならないとこういう事をしていた訳だ。不肖筆者がよく行く某スーパーでもよりによって発覚したタイミングでその産地偽装されたアサリが特売品になっていて、業者の蓄養証明書を掲示していたが、そこには「熊本で蓄養8ヶ月」となっていた。輸入時点で一年物、と言われていたのだからその証明書は逆に産地偽装の証明書になってしまっている。まぁある日を境に全部表記が変更されていたが。
因みにアサリは血中コレステロールの低下、貧血予防、肝機能低下の予防に効果がある。また、骨粗鬆症や味覚障害の予防にも効果がある有用な食材だ。旬は春から夏、とされており、貝殻が横長な物が良いらしい。身近な食材だけに残念な話ではあるが、業者の責任を問うばかりではなく、浮き彫りになった法律の欠陥なども是正しなければ産地偽装は後を断たない。こういう消費者の信頼を裏切る真似を断ち切る為に行政は何をするのか?本気度が問われる一件でもある。