韓国の「食の安全」
韓国で多数のチェーン展開をしている海産物食べ放題の「TODAI」なる料理店で、寿司の上にのせる蒸し海老、刺身などを集めてお湯から茹でて使う、また売れ残った鮭の刺身は鮭ロール巻きの材料に使い回し、中華料理や洋食コーナーで残った酢豚と天ぷら類もロール巻きを作る材料として加工していた、と言うのだ。しかも当該店舗や特定従業員の独断、ではなく、会社ぐるみで組織的に行われていたと言うのだからこの国での「食の安全」は全く信用がならない、とまで思えてしまう。
韓国にも一応日本での食品衛生法に相当する法律はある様なのだが、
「食品接客業者はお客さんが食べ残した食材を使い回し、あるいは調理・保管してはならない。」
と、「わざわざ」明記しなくてはならない辺りに食品に対する衛生意識の低さが表れている、と言えるが話はそれでは終わらず、食品衛生を管轄する食薬処の説明によると
「刺身を使い回したこと自体は営業者順守事項の違反ではない」
と言うのだからもう何を信用すれば良いのかさえ判らないレベルであろう。韓国での食品安全管理指針によると、「腐敗・変質されやすく、冷凍・冷蔵施設に保管しなければならないもの」を除外した安全に問題がないと判断される食品は使い回しても法違反に見なさない…らしい。不肖筆者が言及するまでもなく海産物、特に刺身などの「生の魚介類」は「腐敗・変質しやすく冷凍・冷蔵施設に保管しなければならない」代表選手だ。それは「法律以前の常識」だ。どう考えてもこの「TODAI」なるチェーン店のやっていた事は韓国の食品衛生の観点から見ても「どうかしている」レベルである。勿論「取り締まる側も」なのだが…
韓国の食品衛生法で再利用が認められるケースとして
「味付けをしていないレタスやエゴマの葉など原型が保存されて洗浄後に使用できるもの、バナナ・ピーナッツのように皮がはがれず原型が保存されたもの、塩や胡椒のようにフタがある容器に入っている食材」
が有り得るのだと言う。日本でこんな事をしている店があったら発覚した瞬間営業停止になるだろう。しかしこの「TODAI」のの代表理事は
「シェフらが刺身はたん白質も多く良い食材なのにこれを捨てるのか(として)ロール巻きに提供したという」
とし、
「(使い回しのロール巻きには)多くの魚の種類が入っているのではないか。魚がたくさん入るとおいしい」
と説明したのだと言う。開き直りか?逆ギレか?と言う誠意のない対応だが、コレで大人基準で平日夕方34000ウォン(約3300円)、週末39000ウォンの料金なのだと言う。3000円台で食べ放題、と言うのは良心的に思えるかもしれないが、こういう実態が一度明るみになってしまうと例え再発防止策を打ち出したとしても客の頭を「疑い」が1%でも過ればそこまで、一度遠退いた客足を取り戻す事は非常に困難…と言うより限りなく不可能に近い、と言えるだろう。料理人として「食材を無駄にしない」心掛けは良いことだが、この件に関しては「代償」は余りにも大きい。
何だかんだ言ってもこの国全体が最初からコレなのである。順法精神など最初からないのだから法を制定して解決する訳でもない。連中に永遠に付いて回る問題、とも言えるのである。我々としてもそういう認識を持つ必要がある。