脱原発は可能か?

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東京都知事選挙脱原発を掲げて立候補した候補者がいる。原発をどうするかは寧ろ国策で議論すべき話で、東京都知事選挙の争点には如何なものかと筆者個人的には思うが、各新聞を見ても「争点にすべし」と言う意見も有るのが事実だ。

一口に「脱原発」や「原発即時0」と言ってもあの東日本大震災までは日本の発電量の約3割を原発に頼っていたのは事実だし、また現在の様に火力発電フル稼働で燃料費の高騰による電気代値上げや貿易赤字拡大も望ましくない。また火力発電にはCO2の排出問題から逃れられない宿命がある。ならば火力発電を減らして脱原発をして、その分自然エネルギーを活用すればと言うがその発電量は原発と比べると微々たる量でしかない。

産経新聞原発再稼動支持派の論調だが、その記事によると東京都の電力自給率は2割程度に過ぎないと言う。同記事内で東京電力柏崎刈羽原発の原子炉1機(出力110万Kwの1~5号機)と同等の電力を自然エネルギーで賄うには 風力発電ならば霞ヶ浦を風車で埋め尽くし、 太陽光発電ならば山手線の内側をソーラーパネルで埋め尽くす必要があると言う。

霞ヶ浦の面積はWikipediaによると220㎢。その時点で東京都の面積2188.67㎢の約1割に達する。この時点で風力発電原子力発電を比べるのは厳しいだろう。東京電力HPによると柏崎刈羽原発(原子炉7機)の敷地面積は4.2㎢だから風力発電だけで柏崎刈羽原発と同等の発電量を求めるなら東京都を風車でほぼ埋め尽くす(単純に7割以上)必要がある。(産経の記事は風車の稼働率には触れていないが稼働率100%と仮定)

風力発電では現実味のない話になってしまった。では太陽光発電ならばどうか?

山手線の内側の面積は63㎢程度。八丈島とほぼ同じである。これまた稼働率に付いては触れていないが、これを稼働率100%と仮定する。実際には稼働率100%は難しいだろうから仮に84%の稼働率と仮定するとソーラーパネルには75㎢の敷地面積が要求される。それでも柏崎刈羽原発の約18倍の敷地面積だ。これだけの敷地をどこに確保するのか?また取得資金はどうなるのか?土地代を東京都の地価公示価格の平均743987円/㎡で計算すると用地取得資金に5兆6200億円かかる。この時点で東京都の税収を上回っているがこの財源をどうすればよいか?更に立ち退きした補償や設備費を含めると総計費10兆円オーバーでも不思議はなかろう。仮に10兆円として税収から賄うならばその分だけで一気に倍以上の大増税になるだろう。本当にそんな事したら脱原発の前に知事が辞職するのが先になるのは確実だ。

…つまり「脱原発」をしてもその穴埋めをする方が厄介なのだろう。自然エネルギーから電力を作るのは可能だが、原発の代わりには程遠いのが悲しいが現実なのだろう。