アルベルト・マイケルソンとSTAP細胞

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アルベルト・マイケルソン。19世紀後半から20世紀前半にかけて活躍した科学者で、ノーベル賞も受賞している。アメリカ人初の科学部門でのノーベル賞受賞でもある。

彼の研究は光速測定や天体の直径や距離の測定に多大な業績を残したが、「マイケルソン=モーリーの実験」で知られる様に実験に際して緻密な考証と周到な準備をしていた事でも知られている。

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その「マイケルソン=モーリーの実験」では目指す光の干渉縞の検出を容易にするため、実験装置は石造りの建物の地下室に配置され、熱や振動の影響は最小に抑えられた。振動を抑えるための工夫として、装置は大理石の巨大なブロックの上に置かれ、そのブロックは水銀のプールに浮かべられた。

また、光速測定ではマイケルソンは新たな測定法を捜し求め、大気の影響を避けるために真空にしたチューブを使うことを考えたりもした。
一連の測定の途中でマイケルソンは亡くなった。その後地質的不安定さなどの問題に見舞われたが、1935年に発表された測定値 299,774±11?km/s は電子光学的測定法の結果とほぼ同じだった。如何にマイケルソンが正確さを期して実験に臨んだかよく分かる話である。

…マイケルソンのこの様な姿勢は後世の科学者達の実験に対する姿勢の模範とも言われている。彼の時代にはパソコンで論文を書いたり写真を加工したりする技術はなかったが、あっても彼はそんな事は決してしなかっただろう。

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…時代が下って21世紀の日本。画期的な万能細胞の発見!と騒がれたのも今は昔。その論文に使われた資料写真は執筆者の博士論文で使用された物である事、更に実験データは他の論文を引用先も示さないでコピペしたとされ、発見された(とされる)STAP細胞は実在が疑われ、執筆者の一人、小保方晴子さんは意図的なデータの改竄、捏造が疑われている。

少なくとも自身の博士論文からの写真及び実験データの他論文からの丸ごとコピペは事実の様だ。それが意図的だったか否かは別にして。調査した理研は一部を意図的と判断したが、これに対して小保方さんは不服申し立てを行い、記者会見でSTAP細胞は実在する事、また論文中に指摘されたコピペは改竄・捏造の類ではなく単純なミスと主張した。

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STAP細胞が実在するのか否かは他科学者が論文に示されたやり方で作り出せるか否かが全てであろう。小保方さんは会見でも200回以上成功しているとして実在を明言している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140409-00050103-yom-sci

また、自分以外にも作成に成功した人もいると主張もしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20140409-00000378-fnn-soci

いずれにしてもSTAP細胞の存在は既に世界中で再現実験が行われている。その結果を待てば小保方さんがデータを改竄・捏造したかどうかは判る。焦らないのが肝心だし、その様に報道すべきだろう。

科学者と言えども人間なのだから間違いもある。単純なミスも有り得るだろう。一喜一憂で報じるマスコミも問題だが、この事件、筆者にはそれ以上に成果に気を取られたりして研究や実験に対する基本的姿勢が疎かになっていたのが根本にあるのではないかと感じた。最初にマイケルソンの話を出したのも彼が研究者として模範的な姿勢で研究・実験に取り組んでいたからだ。仮にSTAP細胞が実在し、小保方さんの主張が完全に正しいとしても、マイケルソンだったらもっと慎重に取り組んで拙速な論文発表はしなかったと思うし、間違っても安易なコピペなどしなかったに違いない。科学者にもその数だけ研究テーマもドラマもある。自身の専門だけでなく、マイケルソンの様な偉人の手法に学んで自身に活かしていればこんな騒ぎにならなかっただろうと思うと残念でならない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140409-00000584-san-soci
※小保方さんの会見、科学者から見た見解