ツケは誰が払う?

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日本周辺の二酸化炭素濃度が観測開始以来過去最高を記録したという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140526-00000020-wordleaf-soci

特に海上や上空では、初めて400ppmを超えた。 陸上(大気中)では、綾里(岩手県大船渡市)、南鳥島(東京都小笠原村)、与那国島沖縄県与那国町)の国内3か所で測定。二酸化炭素濃度の月平均値は、綾里で2012年に400ppm超えを記録したのを手始めに、2013年から国内3地点で毎年400ppmを超えるようになった。2013年の年平均値、2014年4月の月平均値ともに、過去最高を更新した。

また海上(日本南方)でも2014年冬季の洋上大気中の二酸化炭素濃度の平均値が400.6ppmとなり、1984年以降初めて400ppmを超えた。上空でも、日本の南東(神奈川県綾瀬市南鳥島間)では、航空機で上空6km付近を観測した結果、2014年4月の二酸化炭素濃度の平均値は402.7ppmを記録。2011年2月の観測開始以来、初めて400ppmを超えた。

国連の「気候変動に関する政府間パネルIPCC)」が昨秋示したシナリオでは、産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑えるには、今世紀末のCO2濃度の目標を世界平均で420ppmとしている。このままでは目標未達は必至である。最早温暖化対策も待ったなしであろう。

原因は幾つか考えられるが、まず間違いなく原発停止による火力発電への無理なシフトが原因の一つに挙げられる。福島原発の事故以来日本の原発はほぼ停止状態だが、その影響が既に現れているのではないだろうか?

火力発電では稼動させれば嫌でもCO2やNOxといった物質が生成され、大気中に放出される。これは火力発電というシステム自体に付いて回ってくる為、どうしようもない火力発電の宿命である。…だからと言って火力発電を否定する訳ではないが。

反原発論者が怖れる放射能漏れは原発事故を意味するが、一方火力発電では稼動している限りこれらの物質は生成され続ける。技術革新でその量は減らせても決してゼロには出来ない。考えようによっては放射能より質が悪い代物である。

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大気中のCO2の濃度が増えると温室効果が加速する。それは気温の上昇を生み、気温の上昇によってすぐに冷房に手を出そうものなら大電力消費→大量の火力発電→CO2放出→温室効果で気温上昇→即冷房スイッチオン…のスパイラルになりかねない。これが我々一人だけでなく、日本中で行われるとしたら…?

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※日本の温度変化

温室効果の直接的影響として、地球上の氷が溶けて海面上昇が起こると言われる。仮に南極の氷が全て溶けたら地球上の海面は70メートル上昇すると言われる。勿論いきなり南極の氷が全て溶ける訳はないが、仮にその一割、海面が7メートル上昇しても十分戦慄する結果になる。

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関東の海岸線が海面上昇に伴いどの様になるかのシミュレーションの画像である。筆者の住む東京下町など3メートル上昇で水没する。これらの地域が地球温暖化による海面上昇で水没した場合、それらを元に戻すのは原発事故によって拡散した放射能の除染より困難なのは間違いなかろう。これも立派な将来の世代へのツケになるが、反原発論者はそれは構わないのか?環境破壊という点では放射能汚染も大気汚染やCO2による温室効果での海面上昇も変わらない。放射能汚染よりマシだとする根拠はあるのだろうか?調子に乗って発電を火力発電に頼り過ぎると、これが将来現実問題になりかねない。

原発のメリットの一つに「CO2を排出しない」点がある。万一事故が起これば甚大な被害を出すのは間違いないが、他記事でも触れた様にレベル5以上の過酷事故、福島やチェルノブイリ、スリーマイルでは全て人為的要素が絡んでいる。人間の管理の問題もあるのだが、原発反対論者はそこには触れない。核物質を一定量以上集めて条件さえ整っていれば自然臨界も有り得るが、(ガボン・オクロの天然原子炉)自然状態で核爆発が起きた話は聞いた事ない。

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※天然原子炉の図。地下水が浸透して臨界してしまう。

現在の発電技術には全て一長一短がある。CO2の温室効果や核廃棄物処理問題を「自分達が生きている間の話でないからいいや」ではただの無責任であり問題解決には繋がらないのだ。従って電力の安定供給には様々な手段を組み合わせていくのが最善だ。安倍首相の政策は間違ってはいない。