宇宙からの(迷惑な?)贈り物

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実は随分前から取り沙汰されていた話ではあるのだが、「2880年3月16日に地球に最接近し、最悪の場合は隕石として落下する可能性が0.3%ある」と指摘されていた、直径約1kmの小惑星“1950DA”。1950年に存在が確認され、暫く行方不明になっていたが、2000年に米・アリゾナ州のローウェル天文台がその軌道を突き止めた結果である。

http://www.astroarts.co.jp/news/2002/04/05nao541/index-j.shtml

直径1キロの天体が地球に衝突した場合、間違いなくカタストロフィになる。衝突のエネルギーは核爆発に換算すると44800メガトンだと言う。広島に投下された原爆の29万8666倍もの威力である。(東日本大震災は同様の計算で486倍)

この小惑星が一般的な小惑星の組成で球体だと仮定すると、その質量は実に10億4720万トンにも及ぶ。こんな物が地上に落ちたら間違いなくクレーターが出来る。恐らく直径約20キロは下らないだろう。仮に東京に落ちたら川崎、西船橋、新松戸など武蔵野線や南部線の内側は全滅であろう。勿論逃げる暇など、ない。

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※バリンジャー隕石孔。50メートルの隕石で1500メートルのクレーターが出来た。

では海上に落ちたら?間違いなくとてつもない津波が発生する。波高は数百メートル、下手すりゃキロ単位も有り得るだろう。絶対に御陀仏だ。

更に地震被害。確実にマグニチュード10.4以上の地震が地表で起こる。地震は通常地下深くで発生するが、被害をもたらすのは地表を伝わる波である。天体衝突の場合エネルギーの大半が地表に伝わる為、マグニチュード12~13地震の発生と変わらない被害が予想されるが、その前に衝撃波と大音響で大半の人がKOされているだろうから無事避難出来る可能性は極めて小さい。

…この様に直径1キロの天体の地球への衝突は人類の存亡に関わる事態である。この1950DAはまだ800年先の話である為人類が対策を練る余裕はある。それだけ未来ならば現在の我々には思いもよらない技術があるかも知れない。

…天体がここまで小さいと観測も困難だがそれでも人類を滅亡させかねない危険な存在に成りうる。だから宇宙空間に棄てられたいわゆるスペースデブリの問題も同様に深刻なのである。宇宙空間にゴミがある事自体が問題と考える必要があるのではないだろうか?

…そう考えると空想科学世界の方々はお気楽である。「ウルトラマン」に登場した宇宙から落ちてきたスカイドン(登場話「空からの贈り物」)は体重20万トンであった。

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「メガトン怪獣」スカイドン。20万トンは0.2メガトンなのだが

ウルトラマンさえ持ち上げられなかった怪獣である。だがウルトラマンの体重は3万5千トン。自分の体重の6倍もの怪獣を持ち上げろとは酷な話だ。因みにこいつが地表にぶつかると800メートル程のクレーターが出来る。従って科学特捜隊にはスカイドンの処理をする余裕などないと言うのが科学的見地である。

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また、「ゴジラvsモスラ」は隕石衝突からストーリーが始まる。劇中の台詞から恐らく直径約40メートル前後の隕石と推定出来るが、それでも地震津波は間違いなく日本を襲う。それもゴジラ襲来よりも甚大な被害なのは間違いナシだが、何故かそちらの被害は誰も触れない。怪獣の覚醒だけで済む話ではないのだが…?

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νガンダムが伊達じゃなくてもそれは無謀だ。計算上では。

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※如何に北斗神拳伝承者でも隕石衝突を防ぐのは無謀だ。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」では小惑星アクシズを地球に落下させようとするが、アムロが搭乗するνガンダムがそれを阻止する。画面で見る限りそのアクシズの大きさは明らかに数十キロ以上あるが、νガンダムのスラスター推力は設定を見る限り100トン以下である。伊達であろうがなかろうが明らかに無謀な行為だが、劇中では未知の力でそれを成し遂げる。たかが石ころ一つ、されど石ころ一つ、である。少なくともこの手の天文ニュースにも目を通してはおきたい。