非常識な公務員による他県での熊無断放獣

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※今回捕獲された熊。

…凡そ常識と言うものがあればこう言うことにはなるはずもない。

三重県は28日、同県いなべ市内で捕獲したツキノワグマを連絡なく隣接する滋賀県多賀町に放したとして、滋賀県に謝罪した。放獣場所から約6キロ離れた多賀町では27日未明、無職女性(88)がクマに襲われて重傷を負った。同一のクマかどうかは不明だが、多賀町内では最近10年間でクマの目撃が1例しかないことから、滋賀県三重県の放ったクマの可能性が高いとみて厳重抗議した。

 三重県などによると、今月17日、いなべ市北勢町の山中でイノシシ捕獲用のおりに体長約1.4メートルのツキノワグマ(雄)がかかった。三重県職員らが同日午後6時半ごろ、発信器を付けて多賀町の山中で逃がした。いなべ市内に適切な場所が見つからなかったという。

 職員らは滋賀県内であることを認識していたが、県庁には「県境付近で放獣した」とだけ報告しており、滋賀県側に連絡されなかった。滋賀県自然環境保全課は「県外に放つことなど常識的にあり得ない」と憤る。

 28日午後、滋賀県庁を訪れた三重県の吉仲繁樹農林水産部長は、滋賀県の拾井泰彦琵琶湖環境部長に「おわびしても足りないほどだ」と謝罪した。襲われた女性の夫(90)は毎日新聞の取材に「あんな恐ろしい動物をなぜ放したのか」と不満を表した。

 逃がしたクマについて三重県は28日夜、発信器の電波から、多賀町から東に約19キロ離れた岐阜県海津市内の山中にいるのを確認したと発表した。滋賀県の担当者は「クマは行動範囲が広く、女性を襲ったクマが海津にいても矛盾はない」としている。三重県は29日朝から捜索し、関係自治体と協議の上、捕獲する方針。》

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150528-00000097-mai-soci
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※事件のあった地域の地図。

三重県ではツキノワグマは希少動物扱いなのだそうだ。捕獲即殺処分とはいかず何処かに逃がしてやるしか選択肢がないのはやむを得ないとしても、他県に放獣して連絡をしないと言うのは常識的にあり得ない。熊に襲われた女性の命が助かったのは不幸中の幸いと言うべきだろうが、発信器があってそれを理由に別個体であると言わない(言えない?)所がどうも怪しい。

しかも放獣の時点でそこが滋賀県であると認識していた時点で完全に確信犯であり、「自分達の管轄外なら後は知ったこっちゃない」なんて無責任なお役所体質がこの愚行に繋がったのだろうか?もしそうならばそう言う体質を完全に駆逐しない限り「禊が済んだ」とは言えないだろう。…何も三重県に限った話ではないだろうが。

ところでこの熊を再度捕獲して一体どうするのだろうか?今回のケースで言えば放獣の時点で問題があるのだから、幾らなんでも殺処分は熊が哀れではないかとさえ思えてしまう。「自然と共生」と言っても熊の様に人間にとって脅威でしかない生物も日本には存在する。公務員のお役所体質の問題と共に「自然と共生」の在り方についても深く考えさせられる事件なのではないだろうか?何はともあれ襲われた女性、重傷だそうだが、一刻も早い回復を祈らずにはいられない。

…完全に余談だが、かつて筆者は熊肉を食べてみたことがある。…はっきり言って美味しくない。食感は固い牛肉に近かったのだが、これと言った味の特徴がなかったと記憶している。