恐ろしや天津大爆発事故

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※凄まじいまでの爆発だと如実に判る。

先日来世界に衝撃を与えていると言って良い天津での大爆発事故。不肖筆者が如何にこの国が嫌いであっても先ずは事故で亡くなられた方には哀悼の意を、負傷された方には御見舞いの気持ちと一刻も早い回復を願う意を表したい。

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※一瞬にしてまるで廃墟同然となってしまった…

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※爆発事故前の現場の様子。

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※爆発事故現場。何かしらの液体がそこに貯まっている模様だ。

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※別アングルから

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※真上から

事故発生から約3日が経過したが、事故現場付近で猛毒のシアン化ナトリウムが大量に漏れていることが判明し、周囲3キロに避難命令が発令されたと言う。

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http://www.sankei.com/world/news/150815/wor1508150039-n1.html

「シアン化ナトリウム」とはWikipediaによれば以下の通りの物質である。

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Wikipediaから引用。

日本でも「グリコ・森永事件」で菓子に混入された毒物として知っている人は知っている代物であると言えるだろう。間違って摂取しようものならばあっという間に死んでしまう危険な毒物である。それが今回爆発事故を起こした現場に大量に保管されていたと言うのだ。…しかもその量は驚くなかれ700トン!この量は20億人以上(!!) の致死量に相当する。勿論ジェノサイドをするためではなく、本来はメッキなどに使われると言う工業用の材料である。

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※シアン化ナトリウムの毒性について

ところが問題はこの倉庫には10トンの収納能力しかなかったと言うのだ。残りの690トンは外に、それも木箱に入れたままとかバケツで保管とか、この様な非常に危険な毒物を保管する方法とは到底思えない方法で保管(?)していたと言うからこれは常軌を逸するにも程がある。毒物より危険なのはこういう扱いをする人間の方かも知れない。そんな危険な毒物が大爆発で周囲にバラ撒かれたのだ。しかもこの物質、水をかけると引火性ガスを発生させる厄介な性質があり、最初の火災で消火活動の為に放出された水と反応して大量の引火性ガスを発生させ、それに火が付いて大爆発、となった、と言うのが今回の報道されているニュースから総合すると考えられるシナリオである。…実際には現場検証をしないと断定は出来ないし、その為には先ずはこのシアン化ナトリウムの処理が必要であろう。しかし、現場で雨でも降ろうものなら再び引火性ガスを大量発生させる悪循環に陥る危険がある。どうか天津周辺で雨が降らない様に、と祈りたい。

この大爆発事故、日本の気象衛星ひまわり8号」が爆発の瞬間を捉えていた。

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このひまわり8号」は上空35786kmの静止衛星軌道にある。如何に「ひまわり8号」のカメラの性能が良くても
衝撃波は32キロ先まで到達し、1.5キロ先の駅は構内は滅茶苦茶にされ、電車も潰されたと言う。2キロ離れたイオンモールも入口やガラスを破壊されるなどの被害を受けたと言うから相当な被害である。

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※現場から2キロ離れたイオンモールの惨状。

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※一体どれ程の爆発規模だったのか?

2回あった爆発では1回目はTNT火薬3トン分、2回目が21トン分の爆発に相当する威力だったのではないかと言われている。TNT火薬とは軍隊で使われる高性能火薬であり、1グラムで1000カロリーのエネルギーを出すとされている。これを基に計算すると2回目の爆発は210億カロリー、即ち878億6400万Jと言うとてつもないエネルギーが放出された事になる。これが勿論熱や音、地面への衝撃に変換されるわけだが、この爆発でマグニチュード2.9の地震が起きたとされている。

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※その時を捉えた地震計。

チェルノブイリ原発事故の際の爆発でさえマグニチュード2.5の地震だったと言われている。実にその約4倍のエネルギーだ。ここまでのエネルギーを放出したとなると核爆発の可能性すら疑いたくなるが、「空想科学読本」でのウルトラマンレッドキングを背負い投げで投げ飛ばした際の被害に関する記述によると120億Jのエネルギーを地面に与える事でマグニチュード3.5の地震になると言う。…これを前提にするならばマグニチュード2.9の地震を起こすのにはこの8分の1のエネルギーで済んでしまう計算になる。元が878億6400万Jだからこういう現象が起こっても何ら不思議ではないのである。更に恐ろしい事に広島に落とされた原子爆弾はこの約70倍のエネルギーである。どれだけ残虐非道な事をアメリカは行ったのか?実際放射能濃度が上昇している訳ではない模様なのでこの爆発が核爆発である可能性は低い、と言えるかもしれないが、そもそも報道規制がかかっており、それ故出てくる情報が何処まで信用できるのか?と言う疑問から逃れることは出来ない。油断は禁物である。

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※既に汚染物質が海へ流出した可能性がある。

また衛星写真によれば事故後黄海に謎の水域が発生している。汚染物質が既に海へ流出した可能性が高い。特にシアン化ナトリウムの場合は環境流出禁止の代物であり、海へ流出しようものならばその海域で引火性ガスを大量発生させたり、海洋生物の大量死と言った深刻な問題を引き起こすのは必至である。それらの自然へのダメージを回復させるには数年どころか数十年といったレベルで考えなくてはならないかも知れない。何も原発だけが特段大きな被害を及ぼす訳ではない、と言う例になってしまった感もする。考えようによっては原発事故よりも深刻ではあるまいか?

福島第一原発事故でも杜撰な管理体制が事故に繋がった指摘がなされている。そういった教訓はここでは残念ながら活かされなかった様だ。その代償が人命や環境破壊では余りに大きい。重大事故は他人事ではなく「他山の石」としないと同様の悲劇が繰り返される。事故が起こってからでは手遅れである。事故を未然に防ぐ方策は怠ってはならないだろう。