記事短評~冥王星の意外な素顔~
※冥王星の概略
※冥王星の軌道は他の惑星と比べて異質である。
7月に冥王星に到着して探査を行った「ニューホライズンズ」。今まで未知の世界だった冥王星とその周囲の衛星について新たな事実を我々に教えてくれた。しかしそれは今まで科学者が地球上から予測していた姿とは大きく異なっていた模様である。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151116-00010000-nknatiogeo-sctch
※冥王星とその衛星。
…地球から見た冥王星は最大でも14等級の明るさでしかない。単純計算で肉眼で見える下限とされる6等級の星の625分の1の明るさに相当する。…勿論これではアマチュアの観測でどうにかなるものではなく、天文台にある望遠鏡でも使わない限り見ることはまず出来ない。アマチュアではせいぜい8等級の海王星が関の山であろう。
※地球と冥王星を並べるとこうなる。
…その大きさについてもかつての、筆者が80年代に読んだ天文学の本には「冥王星の大きさは地球と同じ位」なんて書かれていたが、実際には地球どころか月より小さい。また、冥王星最大の衛星カロンは冥王星の約半分の大きさである。地球と月の大きさの比率より大きい。地球でさえ潮の満ち引きなどと言う形で月の重力の影響が出る。冥王星がカロンの重力によって受ける影響は地球の比ではない筈だ。
※冥王星とカロン
よくよく調べてみると冥王星とカロンの重力が釣り合う場所は冥王星の外側の空間であった。その場所を中心に冥王星もカロンも太陽の周りを公転しながら互いの周りを公転していたのである。
こういう点が「冥王星は『惑星と呼べるのか?』と言う疑問」を生み、それまで定義のなかった「惑星」と言う天体の定義を議論する事に繋がる。議論の結果、前述の冥王星とカロンの関係が決め手になって冥王星は「惑星」から外された。…皮肉な話である。
※「ニューホライズンズ」の旅の軌跡
冥王星は地球から47億7千万キロもの距離がある。そんな彼方の半径2390キロの天体を観測するのは自ずと限界がある。今回の「ニューホライズンズ」の様に近くに行かないと判らない事はあって当然、また科学者が地球上から予測した所でそれが大きく外れていたとしてもそれは致し方ない部分はあるのである。
※冥王星の姿
しかし「ニューホライズンズ」はそれまで未知だった冥王星の姿の一端を明らかにしてくれた。「無限に広がる大宇宙」とは「宇宙戦艦ヤマト」でのフレーズだが、人類は自らのいる太陽系の
事でさえ殆ど把握できていないのが現状である。しかし太陽系の天体を知ることは自らのルーツを知ることに繋がる。だから人類は宇宙に魅せられるのであろう。今後も太陽系の探査は随時行われる筈である。その時はまた新たな発見があるに違いない。