COP21合意は評価出来る内容なのか?

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※今回は意味のある合意と言えるだろう。

地球温暖化対策を議論する「COP21」、紆余曲折あったが、結果的には合意を取り付ける事が出来、これまでの京都議定書に代わる新しい枠組みが出来る事になった。
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http://www.sankei.com/world/news/151213/wor1512130018-n1.html

CO2に代表される温室効果ガスの削減問題については永年先進国と途上国の間の対立の種だった。地球温暖化対策に国境はない、全ての国が協力するべき問題」とする先進国と「温暖化の原因は先に無造作に温室効果ガスを垂れ流した先進国側にある。故に先ずは先進国が削減すべき」と言う途上国の主張の溝が埋まらなかったからだ。
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※対策の必要性は共有出来ても国益が絡むのでややこしい。
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※温暖化のグラフ

京都議定書では先進国にのみ温室効果ガスの削減義務が課せられていた。それを途上国が「既得権」とするのは間違いではあるが、そう受け止めてそれに固執したのは否めまい。しかしどんな国でも産業を発展させれば嫌でも温室効果ガスの排出は増える。その段階で温室効果ガス削減を優先すれば自国の産業に影響が出て、経済成長にも支障が出る。即ち国益にならない。そのジレンマが解決できず、その間温暖化は進行してしまった。
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※南極の氷は増えている…そうだがだからと言って温暖化対策を軽視できない。
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※5m海面が上昇すれば関東はこうなると予想されている。

短期的な視点で見ればそうなのだが、長期的な視点で見れば現在地球は間氷期であるとされ、将来再び氷河期が訪れる、と言う見解も存在する。実際南極の氷は最近の研究によれば寧ろ増加しているらしい。

だからと言って温暖化対策を蔑ろにしたり、途上国の排出量が先進国の削減量を上回って世界規模で見れば温室効果ガス排出増大、では元も子もない。太平洋の島嶼国等は温暖化で海面が上昇すれば国土が消滅してしまう危険すら囁かれている。その国の立場で危機感が違うのだ。

従って全ての国が納得出来る対策と言うのはなかなか難しいものであるが、今回合意に漕ぎ着けたのは成果であると言っても過言ではないだろう。既に有名無実と化した京都議定書よりは数段マシであるのは間違いない。問題は実効性を如何に持たせるか、であるが今回5年毎に進展を確認する、との事なので手を抜いたり嘘を吐いたりすればその場で他の国々から袋叩きにされる事もあり得るだろう。また京都議定書に参加していなかったアメリカや支那、インドも含めての合意である事には意味がある。この3国が世界のCO2排出のトップ3であり、世界の排出量の4割がこの3国からだと言われる。連中が動かないと他の国が如何に努力してもこの3国のせいで全て水泡になりかねない所だった。
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※CO2排出量国別グラフ
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※今回決まった支援の内容。

また合意では先進国が途上国に温暖化対策の資金や技術の支援をする事が盛り込まれた。こういう分野で日本が優れたノウハウを持っている事は今更言うまでもない。日本が他国から更なる信頼を得るチャンスでもあると前向きに捉えるべきであろう。…但し、近隣の某国の様に支援詐欺を働く国もある。そうならないように注意するべきなのは言うまでもない。

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※今回の合意の概要

何れにしても地球温暖化対策は新たなステージに入った。日本も今まで以上の努力が必要であろう。そこで真っ先に思い浮かぶのが電力対策。現状の様に火力発電中心では自ずと限界がある。原発は確かにCO2は排出しないが、代わりに放射線の問題がある。原発が正常稼働している限り理屈では放射線漏れはないが原発を使わない、と言うのであれば日本の電力の半分以上をを原発でも火力でもない新たな方法で賄う必要があるのではないか。果たしてその手段があるのか?COP21の合意は日本に「感情論の『脱原発』議論は止めにして」新たなエネルギー生産バランスを構築する必要性を突き付けた、とも言える。最早待ったなし、実効性のある対策が必須である。