「夫婦同姓」と「女性の再婚禁止期間」に関する最高裁の判断は妥当である
※最高裁大法廷。最高裁の裁判官全員が出席する。
※関連する民法の規定。
最高裁の判断が注目を集めた「夫婦別姓」の可否と「女性の再婚禁止期間」の違憲性についての訴訟、最高裁判所は「夫婦の姓」について規定した民法750条については「合憲」と、また「女性の再婚禁止期間」について規定した民法733条の規定については「100日を越える部分は憲法違反」と判決した。
http://www.sankei.com/affairs/news/151216/afr1512160018-n1.html
※これが判決のポイントになったようだ。
…不肖筆者としては最高裁判所の判決は妥当なものである、と考えている。「夫婦別姓」を推進してきた民主党や共産党は早速反発している模様だが、少なくともその主張の法的根拠は大きく損なわれた形になる。恐らく原告側の弁護士は憲法下で認められているあらゆる権利、また条文の解釈から導かれる権利を悉く主張したのではないかと推測するが、それでいてこの結果なのだから、現行法の解釈の下ではこの最高裁判所の判断を覆すだけの主張を新たに考え付くのも困難であろう。「夫婦が同一の姓を名乗る」のが社会的に定着している、と言う点も最高裁が合憲判断としたポイントの様だ。
※戦後10個目の違憲判決。それを少ないと言うならば政権が基本的に法を遵守している事にもなる。
また「女性の再婚禁止期間」に関する規定だが、この規定は明治時代に制定された規定がそのまま通用していたのだが、その間の世の中の変化に対応出来ていなかった。明治の時代では女性が妊娠しているのが「誰の目から見ても明らかになる」まで6ヶ月待つ必要があったからこういう規定で誕生し、「父子関係の混乱や無用の紛争を防ぐ」と言う意味では制度自体は合憲と判断されたが、現在は医学の進歩でもっと早く女性が自身の妊娠を知る事も可能である。その点で「規定された期間」が「違憲」と言う判断になった。言い換えれば「時代の変化に合わせた法改正の必要性」を指摘した、とも言えるだろう。
※女性の再婚禁止規定を図解するとこうなる。
※来年の通常国会で成立するであろう。多分全会一致で。
※法治国家としては当然の対応ではあるが…
これについて菅官房長官は記者会見で早急に民法の改正案を国会に提出する考えを示した。岩城法務大臣も即日「離婚後100日を越えている女性の婚姻届を受理するよう」通達した。当然の対応ではあるが、これこそ法治国家としてあるべき姿であると言えるだろう。…誰だ?「安倍政権は立憲主義を破壊した」なんて言ってたのは?
※最早「批判」ではなく「誹謗中傷」レベル。
…少なくとも同じ最高裁が「違憲」と判断している「外国人参政権付与」に未だに拘り、判決と関係ない「傍論」を歪曲して法的根拠だと吹聴する民主党とは大きな違いである。それでいて民主党は安倍首相を「立憲主義の破壊者」等と言っているのである。どっちが「本当の意味での」立憲主義の破壊者なのか?相変わらず笑わせてくれる「民主党ブーメラン」だがこうなると「政権批判」ではなく「単なる誹謗中傷」にしかならないが、民主党のレベルではそれすら気づかないのであろう。国政に不要な憐れむべき連中である。
この最高裁判決は「時代の変化に対応した」法改正の必要性を立法府に指摘した、と考えられる。元々「選択的夫婦別姓」も「女性の再婚禁止期間短縮」も1996年の段階で法相の諮問機関から民法改正要綱を答申されていた。しかし今に至るまで国会では議論になっても具体的に決める事が出来なかった。それを「国会の怠慢」と言えばその通りなのかもしれない。しかし施行から68年間憲法の条文一つ改正出来ない国であるのが悲しいが日本の現状である。それに比べれば…なんて言うと暴言か。
…そんな冗談はさておき、憲法も「法」の一つである。従って時代の変化に対応出来ない憲法である、と判断されればその変化に合わせた改憲をする事は何ら悪くない事なのである。「時代の変化に合わせた法改正」が民法は良くて憲法はダメだと言うのか?そういうのをダブルスタンダード、と言うのだが…
※最高裁裁判官の各自の判断。次回の国民審査に役立つであろう。
何れにしても最高裁が妥当な判決を出した事は評価すべき事である。民法750条を見れば明らかな様に結婚した夫婦が「妻の姓」を名乗っても良いのである。実際筆者の知人にもそういう例がある。それの何処が男女差別なのか?また、生物学的に子供を産めるのは「女性だけ」である。この様な生物学的差異に基づく規定は「差別」ではなく「区別」である。「差別」は問答無用でいけない事であると断じられるが、「区別」はそれには該当しない。結果的に最高裁から「違憲判決」を引き出せた点ではこの訴訟に意味があった部分がある、と言えるだろう。その意味では原告の訴訟は無駄ではない、と言えるかも知れない。
※入廷する原告団。訴訟に意味があったと言えるだろう。