ケリー国務長官の原爆資料館訪問の意義

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※成果のある結果だったと評価して良いだろう。

広島で行われていたG7外相会合は共同文書である「広島宣言」で冒頭に「広島および長崎の人々は、原爆投下による極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難という結末を経験した」と明記した。また「政治指導者などの広島や長崎への訪問を「希望する」」としている。実際に原爆を投下したアメリカも参加してこれらの内容の宣言が出せたのは意味があると言って良いだろう。

そんなアメリカ始め、核を保有する英仏の外相も揃って初めて広島を訪れ、平和記念公園で献花し、原爆資料館を見学した。そんなアメリカのケリー国務長官の感想を取り上げたい。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160411-00000038-jij_afp-int
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※ケリー国務長官の芳名帳への記載

ケリー国務長官アメリ国務長官として初めての広島訪問

「非常に大きな名誉だと感じたとともに、感極まるものだったことを個人レベルで表明したい」

とし、原爆資料館を見学して芳名帳に

「世界中の全ての人がこの資料館を見て、その力を感じるべきだ」

と記入、そして

「驚異的」で「人間としてのすべての感受性を揺さぶられる衝撃的な展示だった」

「この資料館は、われわれに核兵器の脅威を終わらせる責務だけでなく、戦争そのものを避けるため全力を注ぐ義務があることをあからさまに、厳しく、切実に思い出させる」

と述べている。また、広島を訪問したことでどんなメッセージを発信したいかとの質問には

「すべての人が広島を訪れるべきだ」

と答えている。更に自身が見たままをオバマ大統領に話す、とも述べている。伊勢志摩サミットでオバマ大統領の広島訪問が実現するか?は一つの焦点になっているが、ケリー国務長官の発言を額面通り受けとるのであればそれを後押しする力になるものと期待しても良いのだろう。
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※その言葉が現実になるようにして頂きたい。

さて、アメリカ国民の多くは「原爆投下は正当だった」と未だに考えている様だ。昨年2月の調査ではあるが、56%のアメリカ人がそう考えているらしい。同じ調査で日本人の79%は「原爆投下を正当化出来ない」と答えているそうだ。そのせいかわざわざケリー長官に随行した米政府高官が「謝罪はしない」と言う程である。

しかし、である。回答したアメリカ人の大半が広島や長崎を訪問してはいまい。原爆投下が何をもたらしたのか?をロクに知らずにそう回答しているのである。また、何故原爆投下を正当化出来るのか?と、言う問いに対するアメリカ人の多くは

「原爆投下がなければ、数千、おそらく数十万、もしかすると数百万の米国人兵士が、日本への本土上陸作戦で死んでいたかもしれない」

と回答するであろう。だがそれはその「おそらく数十万」のアメリカ兵の命を救うために広島・長崎で20万の日本人、それも非戦闘員の命を奪った事が「正しい判断」だった、と言う事になる。つまり、アメリカ兵は死んではいけなかったが、日本の一般市民は死んでも良かった」と言う人種差別そのものの考えを内包している事になる。そういう考えが未だに罷り通るアメリカに「人種差別がない」とはとてもじゃないが言えないであろう。アメリカ人は先ずは原爆投下を正当化する理由そのものに人種差別が含まれている事を自覚するべきである。
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※歴史的な成果だとも言えるだろう。

ケリー国務長官が広島を訪問する前に原爆投下にどんな認識だったかは知らない。だが、今回広島を訪問し、原爆資料館を見学して少なくとも

「自国が正しい、と思って行った事がどんな結果をもたらしたのか」

否応なく認識出来た筈だ。G7外相は当初予定になかった原爆ドームも訪問したが、それはケリー国務長官の提案だったと言う。「個人的」でも思う所はあったのは間違いなかろう。それはそれで結構な事である。

…本気でそう考えている人もいる模様だが、日本政府としてはアメリカが原爆投下の非を認め、謝罪する事」を望んでG7外相会合を広島で開催した訳ではないだろう。「ご自身の目で見て、考え、感じて貰えれば」、との官房長官のコメント以上でも以下でもないだろう。支那朝鮮風情とは根本的に度量が違うのである。そしてケリー国務長官は自分の言葉で上記の様なコメントをしたのである、と考えるべきであろう。

仮にオバマ大統領の広島訪問が実現した場合、今回のケリー国務長官同様原爆資料館を見学すれば、当然思う事はある筈である。その後演説を行う、とも囁かれているが、その際オバマ大統領自身がどう受け止めたのかはその演説に自然と表れるものであると思う。一般的なアメリカ人の認識で予め書かれた演説文を読み上げる「だけ」など間違っても出来まい。「謝罪」や「反省」等が自然と出てくればそれに越した事はないが、一般的なアメリカ人の認識が根底から打ち砕かれる事はまず間違いなかろう。
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※この写真が物語っている意味を考えてみたい。

…そういう意味でも今回のG7外相会合は評価されて然るべきものであると言えるだろう。また、支那朝鮮と違って「価値観を共有出来る」国との「歴史認識の違い」に対する対応はそれで充分であるとも言える。

アメリカ大統領の被爆地訪問が実現すれば次は靖国神社であろう。 安倍首相はアーリントン墓地を訪れているが、同様にアメリカ大統領が靖国神社を参拝すれば、そして日本の首相が真珠湾で追悼すれば日米はまた新たな関係を築けるであろう。そうなる事を期待したい。
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※色々批判もある碑文だが、「核兵器使用という」という一節を「過ちは」の前に入れればまともな意味になるかもしれない。