9条以外であれば改憲賛成は多数?

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産経新聞とFNNの合同世論調査によると、憲法改正について興味深い結果が出た。

…単純に「憲法改正に賛成か?」と言う質問では民進、共産の支持層では「賛成」と回答した割合は共に3割以下だったそうだが、「憲法9条を改正しない」と言う条件を付けた場合、「賛成」と答えた人は民進支持層では58.1%で、共産支持層では54.3%にまで上昇したそうだ。民進党支持層はともかく、共産党支持層からも「改憲賛成」と言う回答が出るのも驚きだが、「9条を改正しない」と言う条件がなくても「憲法改正に賛成」と言う回答は何故か共産党支持層の方が多かった、と言う結果になっている、と言える。

一方、その他の政党では「9条を改正しない」と言う条件がなくても自民党支持層では62.9%、おおさか維新の会の支持層では55.1%が「改憲に賛成」と回答しているが、公明党の場合は46.3%でしかなかった。しかし、「9条を改正しない」と言う条件を付けると公明党支持層でも「改憲賛成」の回答は68.5%まで上昇したそうだ。

この結果に産経新聞阿比留記者が更なる分析を加えている。
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http://www.sankei.com/smp/premium/news/160721/prm1607210006-s1.html

先述した調査では全体として「改憲賛成」42.3%、「改憲反対」41.7%と、賛成が僅かに上回っているが、ほぼ拮抗状態であると言って良い。この結果だけが全てではないが、この調査結果だけを前提に考えれば、イキナリ「9条改正」をやろうとしても一発で改正できるかどうかは非常に予測が困難であると言えるだろう。しかし、「反対」と答えた人に「9条を残す条件での憲法改正」について聞くと、なんとほぼ3分の2の64.5%が「賛成」と答え、「反対」はわずか24.5%でしかなかったと言う。更に全体のうち26.9%が「9条を変えないならば賛成に回る」潜在的改憲支持層と言えるとの事で「9条を含めた改憲賛成派」を加えると実に69.2%が「9条以外であれば」改憲賛成、と言えるのである。

この事から「護憲」を唱える人間の大半が「9条だけは改正反対」という実態が浮かび上がる。勿論憲法9条など日本の安全保障には「クソの役にも立っていない」のはちょっと勉強すれば理解するのに大して時間はかからない。竹島が韓国に侵略された経緯を調べれば1時間もあれば理解は可能であろう。しかし、それを理解していない人間が多いのも遺憾ながらまた事実である。

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「9条改正については、まだまだ国民的な理解、支持が広がっている状況にはない」
(3月7日参院予算委員会

「9条(改正)は現状では難しいと思っている」
(6月24日のTBS番組での党首討論

…「任期中に改憲を成し遂げたい」と言う安倍首相でも9条改正の困難さは理解している。だからこそ上記の様な発言になるのだが、

「(改憲勢力に)3分の2を取らせたら、間違いなく9条が変わる」(山尾志桜里

憲法の平和主義が変えられてしまう」(岡田克也

などと相手の発言を理解せずに民進党は「レッテル貼り」に勤しんでいたのだ。今更驚く事でもないが、民進党はそういうデマを撒き散らしていた訳だ。

…つまり現状では「9条改正」という安全保障における「ベストな選択」が難しいから「ベターな選択」として安保法を制定した、と言う事になる。改憲も護憲も「日本の独立と安全」がその大前提である。その前提が保障されないのでは話の土俵にも入れない。安倍首相が行った事はそういう意味もあると言えるだろう。

この調査結果は「9条以外であれば改憲出来る可能性はそれなりにある」という事を示しているとも言える。勿論内容如何だが、民進党共産党でも「反対する理由がない改正」と言うのは存在しうるであろう。そういう所から始めるのも「一つの方法」であると言える。そして民進党共産党。自分達の支持者にもそういう「9条以外であれば改憲賛成」という層がそれなり以上に存在する、と言う事実は認識するべきであろう。岡田克也憲法審査会での議論参加に「安倍首相が自身の憲法観を撤回する事」「9条は改憲対象外」と言う条件を付けたが、前者は個人の思想信条への不当な介入、後者は口にする意味のない条件、とも言える。そういう下らない条件を付ける前に先ずは足下を見てはどうか?

秋の臨時国会で議論が始まり、改憲案が出る事を期待したいが、憲法9条と言えど憲法の条文の一つに過ぎない。特別な条文でも何でもない。故にその議論から逃げる事に意味はない。また、「9条を改正しなければならない意味」を広めるのも改憲派が行わなければならない事である。

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先日、職場でバイトの大学生が「憲法(主に9条)は変える必要があるんですか?」と不肖筆者に質問してきた。口で説明するより自分の頭で考えてその理由を理解する方が本人の為になる、と思って「カエルの楽園」を貸して読んでもらっている。さて、どんな感想を持ってくるだろうか?楽しみであると共に、絶妙なタイミングでこの本を書いた百田尚樹氏には恐れ入るばかりである。