「富士山が見える限界」に挑戦し、成功した素晴らしい人達。

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※理論上の北限から撮影された富士山。
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※コンピューターで解析するとこういう事らしい。
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※富士山と花塚山の位置関係。

富士山が日本一高い山である事は今更言及するまでもない事だが、その富士山を「どれだけ離れた所から見られるか?」と言うテーマに挑戦する人がいるそうだ。そして今回、「理論上の北限」とされる場所からの撮影に成功していた事が明らかになった。
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その場所は福島県川俣町と飯舘村の間にある花塚山(918メートル)と言う山なのだと言う。距離にして308キロメートル離れているのだと言う。これまで福島県二本松市などの日山(富士山から299キロ)や、より北に位置する麓(は)山(同298キロ)からの撮影に成功したケースはあったそうだが、花塚山からの撮影成功例はなかったのだと言う。撮影に成功した菅野和弘氏、斎藤金男氏、大槻功氏の3人はこの為に60回近くも花塚山に登ったのだと言う。その努力には敬意を表したい。

また、彼等が過去に撮影した写真にも富士山が写っていたことが確認されたと言う。

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和歌山県・色川富士見峠から撮影された富士山。

単純に計算すると、富士山は半径220キロメートル以内の範囲からは見ることが出来るのだと言う。勿論これは観測地点が海抜0m、かつ障害物が全くない前提での話である。実際には観測地点から富士山の直線上にある山や観測地点の標高、更に地球の丸みなどを考慮すれば話はもっと複雑になる。その複雑な計算を経て導き出された「理論上の北限」は花塚山で、今回それが証明された、と言う訳だ。

因みに西限は和歌山県の色川富士見峠と言う場所で、標高は700m程の場所だと言う。距離は直線距離で322.9キロメートルだと言う。東限は銚子、南限は八丈島なのだそうだ。

これだけ離れた所から富士山が見えるのも驚きだが、当然天候は富士山からその場所の間が快晴であるとか、空気が澄んだ状態であるとかなど、幾つもの条件が重ならないと難しいだろう。
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…これまで述べてきた事は太陽が出ている間の話だが、夜間となると、少し前の記事になるが、奈良県で撮影に成功した例があるそうだ。富士山に満月が重なって輝く「パール富士」と呼ばれる現象が奈良県曽爾(そに)村の倶留尊山(くろそやま)で撮影された例があり、そこから富士山までの距離は約252キロメートルなのだと言う。また、富士山に太陽が重なって輝く「ダイヤモンド富士」は奈良県川上村にある大峰山(おおみねさん)の仏生ケ岳(ぶっしょうがたけ)での撮影成功例があり、そこから富士山まで約292キロメートルなのだと言う。およそ300キロメートル前後までの範囲内の山からは見える可能性がある、と言うことか。

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※田代博氏による「富士山が見える場所」のコンピューター解析。ピンクの場所なら見えると言う。

尚、富士見研究の第一人者の田代博氏によればなんと京都府からも「理論上は」見える場所が有り得るのだと言う。…とは言え見えたとしても「かろうじて」というレベルなのだそうだが…

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※やはり富士山は美しい。

やはり富士山は日本を代表する山、今も昔も、そしてこれからも人々を魅了し続けていくのであろう。「見える範囲」の理論上の限界が明らかになっても「より鮮明な写真」を求めて挑戦する人は絶える事はないだろう。不肖筆者の実家からもかつては東京タワーの真後ろに富士山が見えたものだが、途中に高層マンションが建ってしまった為、見えなくなってしまった。現在の自宅は実家の真西なのだが、それでも同様に最早見ることは叶わない。子供の頃、実家の窓から見えた富士山に感動したものだが、それが見られないのは残念である。