「テロ等準備罪」法成立、「中間報告」は民進党問責決議だ。

イメージ 1
※漸く成立。

国会会期末を控え、与野党の攻防の焦点だった「テロ等準備罪」法案は委員長の「中間報告」と言う異例の形で徹夜の末行われた参議院本会議で採決が行われた。

イメージ 2
イメージ 3
※採決にあたっても醜態を晒す。
イメージ 4
※騒いでも既に手遅れ。

イメージ 5
※国会法56条。

これで「テロ等準備罪」は成立、漸く日本も「国際社会でのテロ対策に協力」と言う土俵に上がれる事になったのだが、与党側が「中間報告」で本会議採決に踏み切った事に違和感を覚える方も多いだろう。そもそもこの「中間報告」は国会法56条2項に

議案が発議又は提出されたときは、議長は、これを適当の委員会に付託し、その審査を経て会議に付する。但し、特に緊急を要するものは、発議者又は提出者の要求に基き、議院の議決で委員会の審査を省略することができる。》

と、規定されている。少なくとも本会議開催阻止の為に「女性議員を前面に出して『廊下を塞ぐ』」行為よりは「れっきとした法的な根拠」がある事は間違いない。
イメージ 6
※「女」をこういう形で武器にする卑怯さ。

ただ、委員会での審議が省略される為、どうしても「反則技」と言う印象は否めず、前回の適用例は2009年に成立した改正臓器移植法の審議だった。この時は「議員個人の死生観にかかわる」との理由で殆どの政党が党議拘束をかけなかった事、また「政治的な賛成反対の問題ではない」事が考慮された結果だろう。その意味では今回のケースとは根本的に条件が異なると言える。与野党対決法案では、第1次安倍政権下の07年に改正国家公務員法で行われて以来10年ぶりとの事だ。これまでは野党議員の委員長が採決に応じない場合に行うのが通例、とされていただけに与党議員が委員長のケースで行われるのは極めて異例である。

今回の「テロ等準備罪」の様に賛成反対が与野党でハッキリ分かれる場合、成立しても「禁じ手を使った」と与党に批判の声が上がるのは必至だ。だが、それでも敢えて「中間報告」に踏み切ったからには「それなりの理由」がある筈だと言えるだろう。その理由とは何か?

イメージ 7
※合法的に、だが。
イメージ 8
※と、言う意向は「忖度」されたのだろう。

「何としてでも国会会期中に成立させたかった」と言う理由は間違いなくあるだろう。ただ、「会期延長」と言う選択肢もあるだけにそれだけが「理由」とは言えない。東京都議会議員選挙と国会審議が被るのを嫌ったとも、野党が固執する加計学園に関する一件で政権がダメージを喰らうのを避けた、とも言われるが、無理に「中間報告」に頼らなくても都議会議員選挙と被らない小幅な延長、は既に囁かれていたし、加計学園の件で政権に疚しい事はないのだから「逃げる」意味が何処まであるのか?と言う疑問も湧く。それでも今回敢えて「中間報告」で参議院本会議採決に踏み切ったのは

民進党非難決議」

と言う側面を持たせたかったからではないだろうか?と、思えるのである。
イメージ 9
※これで自民党を怒らせた。

自民党とて最初からこの様な方法での採決を目指していたわけではない。「中間報告」に舵を切らせたのは言うかでもなく13日の参院法務委員会の審議中に突然金田法相の問責決議案を提出し、審議を妨害した事が直接の原因だった、と言っても良い。それまでも民進党は「テロ等準備罪」の審議にあたって「自分達が気に入らない」為「審議拒否」を繰り返し、自民党としてはそれでも民進党に配慮した国会運営をしてきた。「中間報告」は前述の通り、「委員会採決を省略出来る」のだから、

民進党の我儘勝手にはもう付き合えない」

と言う宣言とも受け取れるのではないだろうか?民進党は「横暴だ」等と騒ぐ前に「自分達が今まで何をしてきたのか?」考えて、反省する必要がある。

また、自民党としても

「余りバカな事ばかり言っていると与党にも『こういう選択肢もある』」

と言う事を示すだけではなく、一度実行する事で

「竹光ではなく真剣」

だと民進党がどれだけアホでも否応なく理解させる事が出来る。そういう意味では今回の対応は

民進党へのメッセージ」

と言えるだろう。民進党とは話にならない」と言う意味では「テロ等準備罪」に関しての事実上の

民進党問責決議」

であるとも言える。

イメージ 10
民進党の「真面目にやっている」実績。

民進党としても自民党がこういう対応に動く以上、

「今までの国会戦術は最早『通用しない』」

と言う事を自覚して対応を改めるべきだ。「どうすれば良いか」の答えは簡単で

「自分達のロジックで正攻法で相手を論破する」

以外にない。また「中間報告」で採決を行った与党への批判は確かに多いが、「与党にそこまでさせた」民進党への批判は「それ以上」だと認識するべきだろう。  …「審議拒否」「議事妨害」「レッテル貼りと印象操作」「不信任・問責決議案の乱発」「国会内での実力行使」「牛歩戦術」…いずれも「国民の支持を得られない」事を認識しなければならない。テロ等準備罪」の成立は民進党にとって「大きな敗北」であるのは間違いないが、与党側が民進党に示した態度は「それ以上」の重みがあるのである。…恐らくそれを理解出来るだけの人物は民進党にいないかも知れないが。
イメージ 11
民進党のパフォーマンスは国民から白眼視されている。