トランプ発言は「人種差別擁護」なのか?

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※事態はエスカレートする一方だ。

アメリカ・シャーロッツビルでの白人至上主義者と反対派の衝突事件事態はエスカレートするばかりの様だ。

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南北戦争の南軍司令官ロバート・E・リーの銅像の撤去問題が発端で起きたこの騒動、トランプが口を開けば開くほど事態が悪化している。当初は

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と、白人至上主義者を名指しで非難しなかった事で批判を浴び、

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と、KKKと言った白人至上主義者やネオナチを名指しで非難する声明を出した。ところがそれでも事態は収束に向かうことはなく、

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と言うトランプの発言が

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と、火に油を注ぐ形になってしまっている。

しかしここで冷静に考えてほしい。

「人種差別は許されない」

事は当然であり、話の大前提である事は論を待たない。しかし現実問題としてはKKKの様な団体はその「人種差別」を平然と主張している。こういう連中を擁護する理由など皆無だが、だからと言って

「人種差別思想やそれを主張する連中を排除するのに『暴力』は許されるのか?」

「相手が『人種差別主義者』であれば何をしても構わないのだろうか?」

と言う疑問は常に付きまとう。トランプが言いたい事もそこではないのだろうか?
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※南軍全てが「白人至上主義者」だった訳ではないのだが…

既にノースカロライナ州ダーラムでは14日、白人至上主義に反対する集会の参加者が、南軍兵士像を引き倒す騒ぎも発生。当局が器物損壊容疑で捜査を始めていると言う。つまり引き倒された南軍兵士像は「公共物」だった訳だ。「白人至上主義反対」と言う「錦の御旗」があれば

「如何なる行為も許容される」

のだろうか?
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※リーは奴隷制度には反対だった。

ロバート・E・リーをはじめ、南北戦争時の南軍兵士や将軍の像が「白人至上主義の象徴」と受け止められているのには

「南軍は『奴隷制度維持』の為に戦った」

と言う認識がその前提になっているのであろう。南北戦争の最大の原因はそこにあった、と言う事自体は間違いではないだろうが、今回の騒動の発端になったロバート・E・リー自身は

奴隷制度に反対」

の立場だった。そんなリーが南軍に付いたのはリーは南部出身で、「地元愛」がその理由だった。逆にこの時の大統領で奴隷解放宣言を出したリンカーンは確かに黒人を「奴隷」と言う身分から解放したが、インディアンに対しては強烈な差別意識の持ち主で、歴代米大統領で最も過酷かつ残虐にインディアンを弾圧した張本人でもある。それでもリーが「差別主義者」なのだろうか?そして同時にそれでもリンカーンは「差別主義者でない」のだろうか?
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リンカーンはインディアンに対しては強烈な差別主義者だった。

実際の当人達の言動と現在の評価が逆になっている一面があるのは

南北戦争で勝利したのは北軍

だったからであろう。つまり

「戦争に勝った方が正しい」

と、言っているに等しい。それは帝国主義の考えその物でしかないが、そうであればアメリカ人は

「100年思考回路に進歩がない」

と言っている様なものである。それで良いのだろうか?
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※「法は平等に適用されるべき」と言いたいのだろう。
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※何が言いたいのかは判るが大統領の立場でこのタイミングでその発言はマズイ。
人種差別主義者も、それに反対する団体のメンバーも「同じ人間」である。思想信条は正反対どころか片方は「人類共通の理念」に反するものでもう片方は「人類共通の理念」そのものだが、相手に暴力行為を働いたのであれば

「法は平等に適用されるべき」

ではないのか?

「一方が断罪されてもう一方は『無罪放免』」

ではそれこそ「差別」ではないのか?トランプとしてはそう言いたいのであろう。

そう考えるならその意味においては「トランプは間違っていない」のだろうが、

「『人種差別は絶対悪』と言う『人類共通の理念』」

をマスコミは

「トランプ叩き」

に利用している感が否めないのである。ここでトランプを叩いて人種差別思想がアメリカから一掃されるのであれば「そうする意味」も判らないでもないが、トランプを叩いて政権を潰したとしてもアメリカは「分断」されるだけでアメリカ社会の「人種差別」問題の解決には繋がらないのではないか?問題の本質を見極めた報道姿勢が求められている。
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アメリカ社会での「人種差別問題」はそれだけ根深い。