式守伊之助セクハラ事件でも変わっていない相撲協会


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不祥事続きで禊も済まないまま本日初場所を迎える大相撲、それでも相撲協会は不可解な対応を続けている様だ。
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行司にもランクがあるのだが、その最高位にあたる立行司である式守伊之助が冬巡業中に泥酔して10代の若手行司にセクハラ行為を働いた一件、式守伊之助本人は辞表を提出したものの、相撲協会はこれを保留し、

「3場所出場停止、辞表は夏場所終了後受理」

と言う処分を決定した。

…不可解な処分、とも言えるであろう処分である。問題になった式守伊之助の行為そのものは社会的に糾弾されるべきなのは論を待たない。「酒に酔っていた」など理由にもならない。しかも式守伊之助の酒癖の悪さは以前から知られていて、八角理事長自ら

「酒の席での言動は以前から注意していた。」

そうなのだから尚更だ。

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処分は当然、としても被害者の若手行司はショックを受け、謝罪を求めたものの、被害届を出す意向まではないのだと言う。それでも即時に辞職させず半年謹慎させ、その間の給料は支払わないと言うのだから己の愚行の代償とは言え、「常軌を逸した懲罰」な感もある。かつて幕下行司木村林之助が妻子への傷害の疑いで逮捕された際には「2場所出場停止処分」だったのだから最高位の「立行司」の不祥事とは言え処分の重さは特筆ものであろう。

相撲協会のチグハグな対応は不祥事の発端となった「日馬富士暴行事件」の対応とセットで考えればその意味が見えてくると言えるだろう。日馬富士の一件では「刑事事件として被害届が出された」にも関わらず相撲協会が「内々で処理」しようと目論み、最大の加害者である日馬富士本人は協会から処分される事なく引退表明し、後手後手の対応が批判を浴びた。その反省からなのか、続けて発生した「式守伊之助のセクハラ事件」では「被害者の若手行司に被害届を出す意向はなかった」そして「式守伊之助が辞表を提出した」にも関わらず、「辞表の受理を保留してまで」処分を優先させた。

「反省する時間を与えたい。この時間、反省するように伝えた」

とが八角理事長の弁だが、それだけの時間をかけて反省させても本人にとってその反省が角界でこの先活かされる事はないのだから「何の為の反省」なのだか理解に苦しむ。単に「協会内の不祥事の処理は協会が最優先で仕切る」為に下した判断だとしか思えない。

結局相撲協会は何も変わっていないのだ。暴力やセクハラと言った行為を「起こさない」環境を作るべく構成員の教育を行うのは当然だが、それでも「起きてしまった」事件を「自分達の枠内で全部処理する」と言った風潮を改めない限り世間が「その変化」を認める事はない。協会内部でそれがどれだけ認識されているかは判らないが、ここで改められないと「公益財団法人」としての存続に疑問が出る事は避けられなくなるだろう。現在の相撲協会には「既得権益護持」「旧態依然」の人間は不要だ。求められるのは「旧態を変革させられるリーダーシップ」であろう。それが出来る人間がどれだけ次回の理事選で理事となれるか?次回の理事選はその意味で「非常に重い」ものとなるであろう。一人でも多く「そういう志」のある人間が理事となる事を願ってやまない。