「イラク日報問題」で「倒閣」はお門違いだ
「晴天の霹靂」とでも言うべき
記事執筆中に
との速報が入るなどブログの更新すら追い付かない程目まぐるしく新事実が明らかになっている。全容解明の目処など「予測不能」レベルに等しいが、そんな中でも確実に言える事はあるだろう。
事件について河野統幕長はこの様に、
また山崎陸幕長は
と、陳謝すると共に
と、釈明した。勿論「言い訳」と、言われればそこまでであろうし、それで済む問題とは到底思えない。原因究明、再発防止策の策定と実行、そして関係者の厳正な処分は必須だが、問題の本質を見誤ってはならない。少なくとも「政局」にして大臣や首相のクビを取りに行くとか、国会の審議拒否の理由にする、と言う対応が「間違い」である、と言う事だけは確かであろう。
この問題を倒閣材料にしてならないのは
からである。
…戦前には「軍部大臣現役武官制」と言うシステムがあった。これは当時の陸軍大臣、海軍大臣は「中将以上の現役武官」しかなれない、と言う制度だったのだが、首相と軍部の間に意見の食い違いがあった場合、この制度を悪用して「大臣を辞任させ、後任を送らない」と言う手段で軍部は簡単に倒閣が可能だった。従って戦前の首相は常に軍を忖度する必要があり、それが軍部の独走に繋がった、とも言われている。
「不祥事を故意に起こして首相に責任を取らせて倒閣」
なんて真似も出来てしまう事に繋がりかねない。それこそ「シビリアンコントロールの崩壊」であり、戦前の「軍部大臣現役武官制」の弊害とどう違うのか?と言う話になる。故にここは
「首相ー防衛相のラインから徹底的な真相究明と再発防止策の策定と実行、そして関係者の厳正な処分」
の指示を行うべきであり、野党も真相が知りたいならそれに協力すべきである。それが判らないから野党の連中は何時まで経っても「阿呆」のままなのである。
※菅官房長官の指摘は正しい。
そもそもこの問題、発端は
と言う昨年の国会でのやり取りの後も「イラク日報」の捜索は継続されていた。問題なのは
「あったかなかったか」
ではなく、防衛大臣の指示が末端にキチンと伝わらない事、また結果について報告がなされていなかった事、である。
イラクへの自衛隊派遣は2004~06年に行われた。昨年国会で質問があった時点で11年経っていた訳だ。南スーダンのPKO日報問題の発生を受けて稲田防衛相の時に日報の保管期限を「10年」にしたが、問題のイラク日報はそれ以前のもの。「既に廃棄」でも不思議のないものだった。従って「最初から隠蔽」と直ちには言えないだろう。だからそういう前提で自衛隊も対応したのだろう。だが、「報告や連絡をキチンとする」と言うのは国会だ大臣指示だ以前に「社会人としての基本中の基本」である。防衛省でなくてもどこの会社でも新入社員に真っ先に教える事だ。それを疎かにしていたなど防衛省の問題以上になりようもなく、いちいち国会で取り扱う程の問題でもなかろう。審議を拒否する理由にはならない。先ずは事情を明確にする事が先決ではないのか?対応はそれを見極めてからでも遅くはない。
※社会人としての基本がなってなかった訳だ。
問題の根幹は
「発見された事実が何故大臣に直ちに報告されなかったのか?」
「大臣の指示が何故末端に伝わらなかったのか?」
「開示できる情報を開示しなかったのかどうか」