神の真似事?

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マンモスの遺体(化石ではない)が発見され、その周囲にあった赤い謎の液体が注目されているようだ。

…それはマンモスの血液ではないかと。

発見された永久凍土の中でも、研究所の-17℃の冷凍庫でも凍らなかったとか…?

これがマンモスの血液なら、マンモスは寒さから身を守る為に長い毛の他に血液が凍らない何らかのシステムがあったに違いない。

…マンモスの遺体自体も貴重な発見で、研究によって更にこの絶滅生物について様々な事が判明する事を期待したいが、前述の液体が注目を集めるもう一つの理由はこれがマンモスの血液なら(まだそうだと確認されてない)これからDNAを回収してクローンを作成、マンモスを復活されられないか?という期待があるからである。

まさにジュラシックパークのノリだが、現実に可能なのか当然疑問がある。

理屈では可能であり、ジュラシックパークもそれを前提に作中で恐竜が復活される。しかし現実にはそう甘くないようだ。まず、血液が存在する事と、そこに完全なDNAが存在するかは別の話だという事。幾ら永久凍土の中にあっても完璧なDNA鎖が存在する保証は皆無である。
また、仮に完璧なDNA鎖が存在したとしても代理母はどうするのか?マンモスに一番近い生物はアジアゾウだそうだが、それでうまく誕生させられるのか?更に生まれたその個体が正常なのか、知る人はいない。

…話は変わるがブカルドいう生物を御存知だろうか?2000年に絶滅してしまった早い話、ヤギの仲間である。絶滅前にサンプルを冷凍保存していたらしく、それを使って復活させる試みが行われたそうだ。DNA鎖をヤギの卵子に移植し、ヤギを代理母にして復活!と思いきや誕生から僅か数分で、死んでしまったそうだ。なぜか肺に異常があり、それによる呼吸不全だったそうだ。
クローンを作る際にこの手の器官の異常はよくある話なんだそうだ。
当然マンモスのクローン再生にも付いて回ってくる問題で、場合によっては1頭のクローン誕生の陰で何頭も犠牲にするかもしれない。

そうなるとこの手の研究に賛否両論あるのは筆者としても理解できる。肯定派はかつてのリョコウバトやドードー鳥のような人類の過ちを科学の力で取り戻したり、恐竜のような絶滅生物の研究に有益だと言うだろう。否定派は命を弄ぶ研究の意義や倫理観を問題にするだろう。
どちらが正論かは筆者もまだ判らないが、小説「ジュラシック・パーク」ではT-REXに遭遇した数学者のイアン・マルカム博士はこう言う。「こういう場面に遭遇すると、一度絶滅した生物は絶滅したままであるべきだと痛感するな。」
また、映画「ジュラシック・パーク3」で恐竜製造施設跡で主人公のアラン・グラント博士はここで恐竜を作り出したのかと聞かれ、こう言う。「いいや、神の真似事だ。」と。