原爆投下は戦争犯罪だ。

…筆者がまだ小学生の頃の話だが、担任教師が教室に漫画を持って来るから休み時間に読んでいいと言った。どんな漫画か楽しみに待っていた所、担任教師が持って来た漫画は「はだしのゲン」であった。
最初は原爆投下直後のシーンのインパクトが絶大で小学生にはショッキングだったかも知れないが、不思議な事に気が付いたら筆者も含めてクラスのほぼ全員が読んでいた。筆者にとってはそうだったが、担任教師が原爆について考えるきっかけにと置いたのならば、その目論見は今にして思えば成功だっただろう。

暫く時が経ち、筆者が高校3年の夏休み、戦後50年と言う事で筆者の通う高校のあった市で記念冊子を発行する事になり、戦争を知らない世代代表の一人にさして文章が上手い訳ではない筆者が何故か選ばれた。筆者は当時高校最後の夏休みの記念にと二つ返事で引き受けたが、いざやってみるとテーマの重大さになかなか文章が書けず、その時核実験をやって世界中から非難を浴びたフランスを原爆投下に絡めてアメリカと一緒に非難する文章にした。文中で当時のフランス大統領を名指しで核実験の前に原爆資料館を見てからにしろとか言いたい放題だったが、無修正のまま記念冊子に掲載されて逆に焦った記憶がある。

閑話休題、筆者は学生時代それなりに核について考える機会を与えられたと思う。筆者はその為か一環して核兵器には批判的立場である。
前置きが長かったが。

タイトルの通り、原爆投下は戦争犯罪である。それは今から見て、ではなく当時の国際法から見ても、である。

…実はアメリカは原爆投下決定前から日本がソ連を通じての和平交渉を模索していた事を知っていた。この時点でソ連の対日参戦は決定していたが日本はそれを知らなかった。故に和平交渉は失敗するのだが。和平交渉で戦争を終結させる意思を見せた相手に使う兵器でないのは当時でも明らかなのに敢えてアメリカは原爆を使った。この時点で正当性がないのは明らかであり、アメリカの言う正当性は詭弁に過ぎない。

また、2発の原爆は明らかに市街地を狙って投下された。民間人への無差別攻撃に該当し、更に事前警告なしの投下であった。これらは国際戦争法規に反した行為である。この一事を以てしても原爆投下には正当性の欠片もない事が判る。
アメリカが原爆投下を強行したのは世界中に原爆の力を見せ付けて戦後の国際社会をリードする為、更に実戦データの収集、言い方は悪いが人体への影響を知る為である。

原爆投下が不当だとする意見は当時からあり、米軍内部でも勿論、東京裁判でのインドのパール判事(彼が東京裁判の判事で唯一国際法の専門家)は原爆投下をホロコーストに匹敵する悪行だと断じている。

彼はこの裁判で唯一A級戦犯の無罪を主張した人物である。勝者が敗者を裁くのは私刑に過ぎないと。
しかしながら連合国の戦犯は触れられず、日本はサンフランシスコ平和条約で裁判の結果を受け入れさせられ、現在に至っている。

…それら事実を知ってか知らずか「神の懲罰」
などと言うのは自分の無知、無恥、無学、不見識の証明に他ならない。