古代魚にも色覚があった!

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※アカントーデスの化石

米国の約3億年前の地層から発掘された絶滅魚アカントーデスの化石の目には色を識別する細胞があったと、日本と英国の研究チームが24日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表する。

研究チームによると、脊椎動物の化石からこれらの細胞が見つかるのは初めてという。当時の脊椎動物が周囲をどう見ていたのかはわかっていなかった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141224-00000010-asahi-soci

このアカントーデスという化石魚は名前は「棘」を意味し、属する棘魚類とは硬骨魚と軟骨魚の双方の特徴を併せ持つ種だそうだ。尾鰭以外の鰭に頑丈な棘があることが特徴であり、これが名称の由来でもある。そして上下の顎を持つ現在確認されている最古の脊椎動物でもある。現生生物には繋がらない種ではあるが、その姉妹群と見て差し支えなさそうだ。
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※アカントーデスより原始的な種の生き残りのヤツメウナギ。顎がない。まるで掃除機がゴミを吸い取る様に捕食する。

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※コイツも色が判るのだろうか?

分析によると化石から光を感受する「棒状」と「円錐状」の視細胞を発見した。これら「桿体」細胞と「錐体」細胞とみられる構造は、これまでに発見された中で最古のものという。

この化石はリン酸塩の薄い被膜で覆われて保存されていたと語り、組織の分析から「化石に含まれる石化した桿体細胞と錐体細胞の世界初の記録が得られた」と論文に記した。

これらの細胞と、光を吸収するメラニン色素がともに存在することは、薄暗い光の中では感度の高い桿体細胞を使い、明るい日中は錐体細胞を使ってものを見ることができた「可能性が高い」ことを示唆している。現代の動物では、錐体細胞が特定の波長の光に個別に反応するため、さまざまな色の識別が可能になっている。…霊長類を除く哺乳類以外は。
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※闘牛は旗の動きで牛を挑発している。

…哺乳類には原則色覚はない。例えば闘牛の場合、牛は旗の色ではなく動きに反応している。旗が赤いのはその方が観客に目立つからだ。その理由は哺乳類のルーツにあると言われている。

哺乳類が出現した時、地上を支配していたのは恐竜だった。その為原初的な哺乳類は夜行性であったと考えられている。その為暗闇でも物が見える視力と引き換えに色覚を失ったと言うのだ。哺乳類には繁殖のため婚姻色に変化する種がいないのを考えると色覚がないのも納得ものである。色覚がないなら婚姻色に変化しても意味がないからである。裏返して言えば婚姻色に変化する種は色覚があると言って良いだろう。

…話を魚類に戻すと魚に色覚はあっても視力自体は余り高くはないそうだ。人間の視力で言えば0.3~0.5程度の近眼なのだとか。

この発見で生物の色覚の存在は一気に1億年遡ったという。更に新たな発見や研究が進めば何故生物が色覚を獲得したのかも分かるかも知れない。そういう成果に期待したい。
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※過去にはこんな魚もいた。強靭過ぎる顎の持ち主。勿論誰であっても噛みつかれたらひとたまりもない。ジョーズより強いだろう。